近年、後継者不足や不景気での業績悪化、セカンドライフを充実する等で会社を売りたい人が増えています。しかし会社はどうすれば希望に近い価格で売れるのか?どこで売れるのか?不明点は多いものです。
そこで、この記事では会社を売りたい人に役立つ情報を解説します。
1)会社を売るメリット
会社を売る以外でも会社を清算する方法はあります。会社を自主的に畳むというのも選択肢の一つでしょう。では、会社を畳まずに会社を売りたい人が得られるメリットにはどんなモノがあるのでしょうか?
【1】まとまった資金が手に入る
会社を売却する最大のメリットは、上手くするとまとまったお金が手に入るという事です。
老齢を理由に会社を売りたい時には、退職金代わりに会社の売却益を手に入れて、お金の心配なくセカンドライフの設計が出来ます。
一方、会社を清算すると、会社を買ってくれる人がいるわけではないので、会社の後始末でお金が出ていき結果負債を抱える事もあります。
【2】会社を存続する事が出来る
ちゃんとした後継者がいれば、自分の事業を潰したくないという経営者は多いでしょう。それが出来ないから、泣くなく会社を畳む、あるいは老齢になって自分が倒れたら親族に迷惑をかけるから会社を清算するわけです。
しかし、会社を売却すれば、必然的に買収した人が事業を承継し自分の手から経営権は離れるにしても会社は残ります。
苦労して経営してきた会社が存続するのは、経営者としては嬉しい事です。
【3】個人保証を解除できる
仮に会社を売却して、あまり現金が手に入らなかったとしても、会社を引き継ぐにあたって個人保証は外せます。
個人保証とは経営者の名義で借りている借入金や会社の負債の事で会社が引き継がれると、これらの個人保証は新しい経営者に肩代わりされます。
会社を手放して、借金からも解放されるのは、やはり大きなメリットです。
【4】事業を成長させる事が出来る
あなたの会社を買収したのが大企業であった場合には、資金不足で出来なかった事業展開が可能になる事業の成長が望めます。
例えば会社に勤める親族を継続して雇用する事などを契約書に記載すれば、親族を会社に残したまま安定雇用を継続できます。
吸収合併ではなく完全子会社化を選択すれば、子会社の社長としてリタイヤせずに会社に残り株式譲渡の資金を得た上、経営に参画できるチャンスもあります。
参考サイト:FUNDBOOK
2)会社を売却ための手法3種類

一口に会社を売りたいと考えても、その手法は大きくわけて3種類あります。それぞれにプラスマイナスがあるので、この章でポイントを把握した上でもっとも高く売れそうな手法を選びましょう。
【1】株式譲渡
株式譲渡は、自社の株式を譲渡する事で会社の経営権を移転する手法です。一般に株式譲渡は、自社の株式を100%売却するので、会社は経営者の手を離れ株の売却益として現金を得ます。
中小企業の場合には、株主=経営者なのでその対価は経営者が取得します。
株式譲渡の手続きは、株式譲渡契約書(SPA)締結後に会社を買収した側が買収した株式の対価を契約書で定めた分支払います。
後は株主の名簿を書き換えてしまえば、個々の契約もそのまま引き継がれ、とても簡単なのでm&aでは多用されます。
【2】事業譲渡
事業譲渡は、会社の特定の事業について、一部あるいは全部を買い手に売却してしまう手法です。株式譲渡の場合は会社の経営資源全てを売却しますが、事業譲渡は売却する事業を選んで切り離して売却できます。
譲渡できる事業の内容は、有形では資産、負債、従業員や取引先などで、無形には、のれんなどもあります。切り売りした事業以外は手元に残るので、会社は存続する事ができ売却した事業については対価を受け取る事が出来ます。
ただ、事業譲渡は包括的承継ではないので、事業を買収した側は一々、契約を結び直さないといけません。
そこに許認可などが必要な事業があれば申請し直しになり、非常に手続きが面倒になります。
また買い取る事業を選択できるという事は、買い手が負債は引き継がないという選択をする事もあり、売り手には不利です。
それと、事業譲渡の売却金額は、株式譲渡を大きく下回る事が多い事も覚えておきましょう。
【3】会社分割
会社分割とは、例えば甲という会社が保有する特定の事業を権利・義務の全部、または一部を包括的に乙社に譲渡する手法です。こちらは、企業再生や、事業再生、組織の再編などに使用されます。会社分割には、吸収分割と新設分割の二種類があり、事業を包括的に引き継ぐ点では同じです。
しかし、吸収分割では対価として株式以外に現金なども交付できますが、新設分割では原則株式しか対価として交付できません。
これは会社法762条に定めがあり、新設会社の対価を現金で支払うと新設会社の株主が株を保有していない状態になるからです。株式会社に株主が一人もいない状態は会社法で禁じられているので、新設分割では現金を対価に出来ないのです。
そのため、会社分割で事業を買収サイドに譲渡し現金を対価にしたいなら、新設分割は選ばないのが賢明でしょう。
また、会社分割による事業移転は包括的移転なので、承継する側は契約を個別に結び直さなくてよいメリットがあります。
3)会社を売りたい人が把握すべき税率

会社を売りたい場合には、株式譲渡、事業譲渡、会社分割の方法があると前述しました。しかし、それぞれの売却方法では、売却にかかる税率が大きく変わります。
そこで、この章では会社売却の手法ごとの税率について解説します。
【1】株式譲渡、事業譲渡、会社分割等で掛かる税率一覧
ここでは、株式を譲渡、事業譲渡、会社分割、株式交換、合併等、それぞれのケースでの税率と税金の種類を解説します。
①株式譲渡
譲渡対象:会社株式
課税対象:個人株主
対価の種類:現金
税金の種類
・所得税15.315%
・住民税5%
②事業譲渡
譲渡対象:事業資産
課税対象:法人
対価の種類:現金
税金の種類
・法人税等30%(実効税率)
株式交換
譲渡対象:会社株式
課税対象:個人株主
対価種類:買手法人株式
税金種類・所得税15.315%
・住民税5%
合併
譲渡対象:会社株式
課税対象:個人株主/法人
対価種類:買手法人株式
税金種類
・個人株主
所得税45%
住民税10%
※6.4%〜12.8%の税額控除あり
・法人
法人税30%(実効税率)
分割
譲渡対象:会社の株式(一部)
課税対象:個人株主/法人
対価種類:現金
税金種類
・個人株主
所得税45%
住民税10%
※6.4%〜12.8%の税額控除あり
・法人
法人税30%(実効税率)
※合併と分割は、それが適格要件の場合は無税です。
上記の税金は非適格要件の場合の課税額です。
参考サイト:経営情報|日新税理士事務所
【2】税率で最もメリットがあるのは合併と分割だが・・
個人事業者にとって一番有利な手法は何でしょう?こうしてみると株主であり経営者である事が多い個人事業者にとっては、適格要件であれば合併や分割が無税という事になります。
しかし、合併や分割は手続きが株式譲渡よりも煩雑ですし、適格要件に該当するかどうかは素人ではわからず非適格と見做されると最大55%の課税が掛かります。
そのため合併や分割については、相応の専門家がいて適格要件を満たせるなら選択するのもベストです。
面倒な手続きを排除して、スピードを重視するなら株式譲渡で20%の税金を支払って終わりにするのが一番簡単です。
4)会社を売りたい人向け、具体的な売却手順

会社を売りたいと思っていても考えているだけでは会社を売却できません。
ここでは、具体的に会社を売るまでの具体的な4つのステップを紹介します。
【1】M&A仲介業者と契約する
会社を売却するとなると、どうしてもM&A仲介業者と契約を結ぶ必要があります。
実際に会社を売却するには、経理、法務、財務、などの広範な知識が必要になり、自力で会社を売却するのはコスト面でも時間面でも困難です。
ネット環境のある方なら、M&Aで検索すると、すぐに幾つもの仲介業者情報を目にする事ができます。
仲介業者は千差万別ですので、ネットで情報取集した上で、実際に会社に赴いて相談し、契約を結ぶ業者を決定します。
また、仲介業者を利用すると手数料として数百万単位のお金がかかる事は頭に入れておきましょう。
参考サイト:M&A総合研究所ポータル
【2】売却成立までの流れ
では、ここで仲介業者と契約を締結してから実際にM&Aが成立するまでの大まかな流れを見てみましょう。
・第一段階
①M&A仲介業者との契約
②提案資料の作成
③ネームクリアのチェック
M&A仲介業者との契約を締結したら、あなたの会社についての資料を作成します。
その提案資料に基づいてネームクリアという会社の経営状態や組織などを記載した書面を完成させます。こちらのネームクリアは第二段階で買い手候補に見せる資料ですが会社名などは伏せています。
・第二段階
①買い手とM&A仲介業者との契約
②ノンネームシートでの提案
③買い手による検討
M&A仲介業者が買い手候補との間でも契約を結びます。こうして、M&A仲介業者は売り手と買い手の双方から手数料を得ています。
※ただし業者の中には、売り手と買い手、どちらか一方と専属契約を結ぶFA(ファイナンシャルアドバイザー)もいます。
売り手の会社に興味をもった買い手候補に、M&A仲介業者は会社の名前を伏せたノンネームシートを提示し買い手は検討に入ります。
・第三段階
①トップ面談の実施
②意向表明書(LOI)提示
③基本合意契約書締結
ノンネームシートをチェックし買い手候補が交渉に入る事を決意すると売り手と買い手の間でトップ面談をします。
売り手にとって買い手企業のトップと意見交換が出来る数少ないチャンスなので、質問すべきはして相手の本気度を見極めましょう。こうして双方が、一応の合意を見ると、売り手は意向表明書を買い手候補に提出します。
意向表明書には、売り手が買い手に会社を売却する意思があるという表明とノンネームシートよりも具体的な会社の概要が掲載されています。
買い手候補がこれを読んで検討し承諾すると基本合意契約書を交わす事になります。
基本合意契約書には、大体以下のような事項が明記されます。
・取引形態
・今後のスケジュール
・デューデリジェンスへの協力義務
・独占交渉権の付与
・機密保持義務
・その他
しかし、基本合意契約でガチガチに法的拘束力を定めてしまうと、デューデリジェンスの結果による契約内容の変更が避けられません。
そのために機密保持のような一部の条件を除き、基本合意契約には法的拘束力を持つ条件はつけないのが普通です。
・第四段階
①デューデリジェンスの実施
基本合意が締結されたら、買い手のサイドから公認会計士や弁護士、税理士などによる監査グループが売り手会社に派遣されます。
監査グループは、会社の財務、法務調査などをして、会社に申告していないリスクはないか?、実際に買収して利益が出そうかを徹底調査します。
デューデリジェンスは、いわば会社の人間ドッグであり、買い手候補は監査グループのレポート提出を待ち最終的な決断を下します。
・第五段階
①最終譲渡契約書の締結
②クロージング
デューデリジェンスに問題が無ければいよいよ、買い手、売り手双方がM&Aを実行する事を約して最終譲渡契約書を締結します。
しかし、実際には最終譲渡契約書を締結してから、株式譲渡などの手続きは開始されるので最終譲渡契約締結からクロージングまではズレるのが普通です。
こうして、売り手の資産を引き継ぎ、買い手が対価を売り手に支払った時点でM&Aは終了します。
参考サイト:日本M&Aアドバイザー協会
5)会社を売りたい人の売却価格の計算方法

会社の売却価格は、売り手と買い手の合意で決まるので100%こちらの希望価格で売るのは難しいものです。
しかし、目安となる会社の売却価格については計算方法があり、大まかにではありますが自社価格を試算する事は出来るのです。
【1】一番簡単な価格算出方法
もっとも簡単な会社の価格の算出方法は、以下の計算式で出せます。
・純資産額(会社の資産総額から負債総額を引いた金額)+純利益(経常利益から特別損益や法人税を引いた金額)×年数(3〜5)
例えば、あなたの会社の純資産が5000万円で純利益が600万円なら、5600万円に3から5を掛けて、1億6800万円から2億8,000万円になります。
これは、簡単に会社の価格が出せる方法ですが実際には、この方法以外にも多くの会社価格の試算方法があり金額も大きく変わります。
以下では現在使用されている、主な会社価格の計算方法を解説します。
(1)修正簿価純資産法
会社の売却価格の計算方法には、いくつ種類があるのでしょう?
貸借対照表に記載された負債と資産を時価に変換して出した修正資産をベースに会社価値を算出します。
財務諸表が元なので単純明快で分かりやすいですが、在庫や売上債権を正確に反映できませんし、将来収益の見通しもカットされます。
つまり、現時点での会社の価格しか分からないというのが修正簿価純資産法の難点です。
(2)類似会社比較法
売却したい会社と同種の上場企業の財務指標をベースにして会社の価格を算出します。
この方法だと市場という公平かつ需要を反映した価格を出せ説得力がありますが株価は変動するので売却価格も影響を受けます。
また、デメリットとしては、株式を公開している上場企業鹿参考に出来ない点があります。
そして、類似企業がないベンチャーや特殊な部品メーカーだと類似会社比較法は使えません。
(3)DCF法
将来的なフリーキャッシュフローを使って会社を売却する際の適正価格を算出する方法で、将来性を加える事が出来るのでよく使われます。
しかし、DCF法は将来の予想収益が評価の基礎なので会社の将来計画が必須で、正確な計画書が造れない中小企業だと不利な計算になります。
参考サイト:M&A総合研究所ポータル
6)会社を売りたい人必見、売却価格を上げる3つのポイント

経営者にとっては血と汗と涙の結晶である自社、それを売りたいと決意した以上、一円でも高く売りたいのが人情です。そこで、この章では会社を一円でも高く売却するための3つのポイントについて解説します。
【1】買収先の最終決定者の見定め
会社の売却価格は、お金を払う人の決定に大きく関係しています。例えば、ワンマン経営者に個人的に気に入られた場合には、鶴の一声で高額の買収価格が決定する可能性もあります。
以下では、上場企業、オーナー企業、ファンド・ベンチャーキャピタルの最終決定者を解説します。
(1)上場企業
それぞれの会社形態での最終決定者について見ていきます。
上場企業の場合、会社買収は取締役会の決定でもできますが、後で株主への説明責任の義務が生じます。つまり、会社の売却価格には誰もが納得する合理性が必要になるので、例えば「のれん」のような無形資産の価値計算が難しくなります。
あまりにのれんの価格が高いと経営陣は承諾したくても株主の顔色を考えてM&Aは難航するかもしれません。
(2)ファンド・ベンチャーキャピタル
ファンドやベンチャーキャピタルの運営者は投資家であり、会社の売却価格については合議制で決めていく事になります。ただ、上場企業と違うのは、説明責任を負っているのが株主に対してではなく投資家に対してなので、買収成果についてよりシビアです。
ハッキリ言ってしまうと、ファンドやベンチャーキャピタルは、会社を出来るだけ安く買い経営を合理化して利益率を高め、別の投資会社に高く売るのが目的です。
ファンドやベンチャーキャピタルに対し、会社を高く売るのはハードルが高いと言えるでしょう。
(3)オーナー企業
ワンマン経営者が経営している非上場企業などは、経営者のトップダウンで話が決まり異論が挟めないのでオーナーが最終決定者です。オーナーの嗜好などを加味して、有効なプレゼンができれば、こちらの言い値で会社が売却できる確率も高いでしょう。
ただ、オーナーが引退して経営陣が大きく変わると、売却した会社に対し風当たりが強くなったりし、経営が上手くいかなくなるリスクは高くなります。
1円でも高く売りたいという目的ならともかく、売却した会社の今後の発展などを考えると、オーナー企業への売却は慎重にしたほうがいいでしょう。
【2】買収先企業の事業内容や事業環境
会社を売却する際には、買収先の会社の事業環境や事業内容も重要なポイントになります。
例えば企業買収の主な動機には、事業のシナジー効果が求められるので、自社を買収する事で具体的にどんなシナジー効果があるのか説明できれば相手の財布の紐も緩みます。
また事業環境について言えば、業績が良く財務状態が健全な会社であれば、より会社を大きくしようと投資余力を拡大するのが自然です。
さらに、自己資本比率が低い会社だと、資産効率を高めるように株主に促されてM&Aや投資に資本を投下し生産性を上げようとします。
このような事業環境に関する情報を把握しておくと、会社を出来るだけ高く売却する確率は高まります。
【3】買収サイド企業の価値算定方法を把握する
一般的な企業の価格算定方法には、時価純資産や、DCF、EBITDA倍率などで価格が決定されます。これは買収サイドの会社によって、どの価値算定方法を取るかが変わってくるので前もって情報収集するのが大事です。
また、買収先の会社が拠点拡大を狙っているのか、人材を狙っているのかでも拠点のコストや従業員一人当たりの採用コストから買収価格が決まる事もあります。
この時、売り手が高値を引き出すには、自社を買収した方がより安いコストで拠点でも人材でも高い投資価値を上げられる事を証明する必要があります。
簡単に言えば、一般価値よりも自社がどれだけ買収サイドのニーズを満たせるかを証明できるかどうかという事です。
参考サイト:M&Aネットワークス
7)会社を高く売りたい人に関するQ&A

ここまで会社を売りたい人に役立つ情報を解説してきました。この章では、これまで取り上げなかった、会社を売りたい事についての疑問や質問に解答します。
【Q1】会社の建物のみを身内の会社に売却しようと考えています。この際、建物を売却した事による譲渡所得税が発生しないようにするには、減価償却の未償却残高を同じ金額にすればいいのでしょうか?
理論上はそうですが、建物の場合には未償却残高=譲渡価格という公式は成り立ちません。
建物を売却する際には、付近の売買事例のような客観的なデータ、固定資産税評価、相続税評価などを勘案して複合的に価格を出します。
つまり、譲渡所得税が発生しないようにするには客観的に見ても、未償却残高と実際の売却価格が同じである事を証明しないといけないのです。
【Q2】自社株の一部を売却しようと思うのですが、社内に売るか社外で売るかで課税額は変わるのでしょうか?
自社株を売却した際に掛かる税金は、社内か社外かで大きく変わります。社内で自社株を売却すると対価として得られた現金は配当所得になり、課税は総合課税になります。
逆に社外で自社株を売却して得られる対価は譲渡所得になり、分離課税方式で納税します。社外で自社株を売却する分離課税方式だと金額に関係なく、売却額の20.315%が税金です。
社内の場合には、総合課税方式で自己株式の取得となり、その利益は配当所得と見做されます。
配当所得の税額は、現金を受け取る個人の所得によって異なりますが社内で自社株を売買すると累進課税の対象になり税率が跳ね上がる恐れがあります。
つまり、自社株を売却するなら、社外に売却する方が節税になります。
【Q3】非上場企業の株式売買用にグリーンシートという制度があると聞きましたが、どういう制度でしょうか?
グリーンシートとは、非上場会社の株式などを売買しやすくする事を目的に、日本証券業協会が1997年から設けていた制度です。
元々は、アメリカのピンクシートを模範にし、資金難に直面しやすい非上場のベンチャー企業の資金調達を助ける名目で設立されています。
しかし、日本国内で2015年からクラウドファンディングによる資金調達が合法化された事で設立意義が弱くなり2018年の3月31日に廃止されました。
その後継として日本証券業協会が、「株式投資型クラウドファンディング」を設立する予定のようです。
8)この記事のまとめ
会社を売りたい人に役立つ情報については、以下のようなポイントがあります。
●会社を売る事で、まとまったお金、会社存続、個人保証の解除、事業拡大などのメリットが得られる。
●会社売却の手法としては、株式譲渡、事業譲渡、会社分割等がある
●会社売却後の課税は、株式譲渡と株式交換が20%、事業譲渡は30%、合併や分割は適格案件なら無税だが非適格案件だと個人で最大55%と高額になる
●会社の売却は複雑な手続きが絡むので、m&a仲介業者やFA(ファイナンシャルアドバイザー)と契約を結んで進める。
●自社の売却価格算出には、DCF法や類似会社比較法、修正簿価純資産法などがあるが、一長一短あるのでよく考えて決める。
●会社の売却価格を上げるには、買収の最終決定者の見定め、買収候補の事業内容や環境、買収候補の価格算定方法を把握する等がある。