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M&Aにおける価格の決め方!相場はどれくらい?

電卓を指差すビジネスマン

2019年現在、M&Aは成長戦略の一環としてすっかり定着しました。そんな中、経済産業省で公正な価格決定の指針を見直そうというニュースが発表されました。企業価値の考え方が見直されている今こそ、M&Aの価格相場について理解しておきましょう。

1)M&Aの譲渡価格の決定方法

皆さんが商品を手に取って買うときに、その金額が妥当かどうかはどのように判断しますか?おそらくは、ご自身の中でベースとなる金額があって、それより高いか安いかで判断するでしょう。

一般的に、M&Aではその殆どが非上場会社で明確な基準価格というものはありません。ではどのようにして価格決定を行うのでしょうか。

【1】価格決定の考え方

M&Aのような相対取引では、売り手と買い手の双方が合意して初めて価格が決まります。当然、売り手は思い入れのある自社を1円でも高く売りたいと考え、買い手もまた然りです。このようにM&Aではそれぞれの思いが交錯しますが、企業という無形資産を評価するにあたっては、客観的に数値で判断する考え方と、数値だけでは計れない「伸びしろ」と2つの側面で考えていきます。

具体的には下記の2つの視点で考えます。

(1)資産の評価

上記で言う数値による考え方です。企業にはバランスシート(貸借対照表)と呼ばれる決算書があります。これは「現在の」資産・負債の状況を表すものなので、企業価値のベースになります。

(2)企業の業種と将来性

上記で言う「伸びしろ」の部分です。例えば2017年は健康ブームだったこともあり業界大手のRIZAPも企業買収に積極的でしたが、2019年現在では赤字決算で陰りを見せています。その時代によってトレンドは異なるのです。では業種別の価値はどのように算出すればよいのでしょうか。

M&AではPER(株価収益率)という指標をよく用います。PER(株価収益率)は以下のように求めます。

PER=時価総額/純利益 (単位:倍)

この指標の意味するところは、「この企業の評価(価格)は儲けに対して何倍か」つまり「この企業の、現在の評価は儲けの何年分か」にあります。

PERが20倍であれば、「いまこの企業を買収すれば20年後ペイできる」ということになります。

2)譲渡価格の評価の仕方

疑問を持つ人々

企業価値を考えるにあたっては目で見て分かる数値と、将来性は車の両輪であることがわかりました。では実際の現場ではこれらの方法をどのように活用し評価するのでしょうか。

【1】企業価値の算出だけでは譲渡価格は測れない

まず企業価値を算出しても、それぞれのデータにメリット・デメリットがあります。資産状況だけみても、将来性はわかりません。また将来性だけみても、実際と異なったり、不確定要素が多かったりと不安が残ります。そこで交渉に入るわけです。

売り手は『希望価格』、買い手は『その価格が回収できるか』を算定しておいて交渉に臨みますが、双方の重要度合いによって企業価値は大きく異なってくるケースが大半です。では実際の現場の流れを確認してみましょう。

【2】譲渡価格決定の順序

実際のM&Aの現場では、これまで述べてきた企業価値の考え方の、全ての側面からトータルでみて評価します。以下のように協議されます。

  • 企業価値の算出
  • 売り手と買い手が交渉をする
  • 最終価格の決定

では決定した企業価値の評価額=譲渡価格とは限らないのですね。では、譲渡価格においてはどのようなデータを用いて交渉に臨むのでしょうか?企業価値の算出に使ったキャッシュフローや決算書、PERだけではないのです。次の項目で確認していきましょう。

3)DCF法

【1】DCF法の概念

譲渡価格を検討する代表的な手法の1つにDCF法(Discount Cash Flow)で、直訳すると「割引キャッシュフロー法」になります。これは「将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く(ディスカウントする)」という意味です。どういうことでしょうか。

これまでで述べた資産価値やキャッシュフローでは、過去の実績や一定期間のお金の流れや状況であって、将来性は分からないと言うことでしたね。

企業の価値を検討するときに、この「時間リスク」を加味できる方法がDCF法なのです。言い換えると、将来の価値は、金額は同じでも現在の金額と異なります。これが「現在価値に割り引く(ディスカウントする)ということです。

【2】DCF法による算定ステップ

次にDCF法による実際の算定の仕方について見ていきましょう。

結論から言うと以下の算定式になります。

継続可能フリーキャッシュフロー × (1+永久成長率) / (割引率-永久成長率)

キーワードをひとつひとつ確認していきましょう。

(1)継続可能フリーキャッシュフロー

フリーキャッシュフロー(FCF)とは、債権者と株主に分配可能なキャッシュフローのことです。このなかから毎年得られるフリーキャッシュフローの予想を立てます。このとき過去の業績など決算書から5年先まで予想するのが一般的です。

(2)割引率

計算方法は案件の数だけあるのでここで全てをお伝えできないのですが、交渉で決定するのが一般的です。

(3)永久成長率

これは売り手が決めて良い指標です。一般的には0か1です。

例)継続可能FCF=1,251、永久成長率=0.25%、割引率4%の場合

1,251(1+0.25)/(4-0.25)=250.2

抽象的な数値が多いように見えますが、そもそもDCF法は、将来のキャッシュフローを更に予想したものなので計算方法も様々で答えはひとつではありません。プロのM&A仲介業者に依頼をしても、相見積もりの数だけ異なった結果が出るでしょう。

ただ言えるのは、将来のキャッシュフローが大きい企業はそれだけ価値が高いので割引率も低くなりますから、相見積もりを買い手に提示する交渉材料にはなり得るでしょう。

4)類似企業比準

ビジネスマンのジェスチャー

【1】類似企業比準の概要

類似業種比準方式は、非上場株式の株価を計算する方法のひとつです。ざっくり言うと、上場している同業他社の株価を参考に評価を行う方法です。非上場企業の売買が殆どであるM&Aに向いている方法といえます。

【2】算定にあたり用いる指標

具体的には以下の4つの指標を加味し同業他社を選定してその株価を材料とします。

  • 会社の規模
  • ターゲット層
  • ビジネスモデル
  • 製品・サービス

材料株価から、PERやPBRなどを用いて比較をしながら売り手会社の価値を算出します。

【3】類似企業比準が使えないケース

ベンチャー企業などライバル社の選定がしづらいケースには使いづらい指標です。また事業内容や製品が他社には無い場合も選定が難しくなります。また、2007年に巻き起こったサブプライムローンのような恐慌など、市場全体が低迷しているときも同様です。このように、ビジネスモデルや景気に左右されやすいため、DCF法と併用して用いるのが一般的です。

【4】類似取引比較法

また同じような考えに類似取引比較法という考え方もあります。当該売り手企業と類似する上場企業がM&Aを行っていた場合、その取引額から算出される利益倍率に比準して、価格を算出します。

買収プレミアムがすでに加味されており、類似会社比準法に比べて高くなることがあるため買い手はこの方法をあまり好みません。

5)修正純資産法

修正純資産法も、非上場企業の株式価値を考える方法です。具体的には、バランスシートの資産および負債の部を「時価に換算」して「純資産総額」を算出します。

時価の換算の仕方はつぎの2通りです。

【1】再調達原価法

資産や負債を、今取得し直すとしたらいくらになるか?という考え方が再調達原価法です。

このとき、時価に換算した額を「純資産総額」と呼びます。これは言い換えると「当該売り手企業と同じ財務内容の企業を設立し直すとしたらいくら必要か」ということです。ことM&Aの価格交渉では、信憑性の高い判断材料となります。

【2】清算価値法

「企業を清算したときの価値」とはどのような価値か考えてみましょう。いま企業が所有するすべての資産を処分するとして、その売却金額で、同じくすべての負債を弁済するとします。その残余額が清算価値です。

つまり、当該企業をいま「清算」するとしたら、その時に株主が得られる金額を意味します。このような方法を清算価値法といいます。ベンチャー企業など類似企業が見つけづらいときに利用する方法です。これもDCF法と併用することが非常に多いです。

5)この記事のまとめ

このようにM&Aの価格決定に際しては現在ある材料だけでは測れない部分が多いと分りました。

過去の実績・現在・そして将来性という時系列による考え方や類似企業や景気など外部材料も加味しながら複雑にからみあうデータを元に決定されるのです。そのためM&Aの価格相場を一律に言うのは大変難しく、まして全ての業種に適用できる相場というものは存在しません。

先述したとおり、複数のM&A仲介会社から相見積もりを取って検討しましょう。

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