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M&Aの譲渡価格!相場はどれくらい?【最新版】

ビジネスマン

M&AとはMerger & Acquisitionの略で「合併と吸収」を意味します。なんだか横文字になると難しそうですが、実際は幾つかのポイントさえ押さえれば誰でも理解できます。この記事ではM&Aの相場について分かりやすく簡単に解説していきます。

1)疑問!M&Aの相場価格はどうやって決まる?

M&AとはMerger & Acquisitionの略文で狭義には企業買収、会社売買という意味です。このM&Aを活用する事で企業はすでに完成した企業を売買し資金を得たり新規事業に乗り出します。

実際に、当記事を見ている方には会社の経営権を持っていて他社の事業買い取りを考えている方や、逆に心機一転して新事業を立ち上げるに自社の企業を譲渡したいと考えている方もいるでしょう。

そこで、ここでは特にM&Aの譲渡価格の相場について解説します。

【1】M&A相場価格とは

M&Aの相場はM&Aの対象となっている会社の「金銭価値」を考慮に入れて算出されます。つまり事業売却したり企業譲渡したりする時に支払われる金額の「目安」が相場です。

もちろん実際のM&Aでは、経営者が売買相手を探す事はまず無く、M&A仲介業者を介して売買交渉が行われるので、M&Aの知識はそこまで必要ではありません。

ただ、M&A相場について全く知識が無いと実際の相場より安い価格で自社を譲渡してしまったり、逆に相場より高く企業を買収してしまう恐れもあります。その為、M&Aの相場価格について知っておくのは大事な事です。

(1)買い手の心理

当たり前ですが、売買には売り手と買い手がいます。双方が考える企業の金銭価値が同じなら交渉はすぐにまとまりますが、実際には売り手と買い手には、大きな思惑の違いがあるのです。

買い手には、会社買収の相場価格を低く見積もる傾向があります。M&Aに限らず、買い手が出来るだけ安く対象物を手に入れたいと考えるのは当然の心理です。

また、そのような心理がなくても、これから購入する会社の帳簿では分からない部分の不安要素つまり、社員、ノウハウ、技術、士気がちゃんと買い手に取ってプラスに働くのか分かりません。

M&Aによって会社の持ち主が変わる事で従来の従業員が辞めたり、業績が落ちる可能性もあるわけですから、買い手は出来るだけ安く会社を買収したい心理が働きます。

(2)売り手の心理

逆にM&Aによって、会社や事業を譲渡する立場である売り手サイドの相場価格は、買い手が考えているよりも、高く見積もられる傾向があります。売り手心理としては、これまでに一生懸命に成長させた企業や事業ですから出来るだけ高く売れて欲しく、それにより、多額の売却益を期待するからです。

しかし、思い入れが強いあまりに売り手サイドは自社の事業や会社を過大評価する恐れもあります。それが強くなりすぎると、実際の相場とはかけ離れた譲渡価格を提示してしまい、結果として買い手との間で交渉が折り合わない事になります。

(3)売り手と買い手の価格のすり合わせ

このように、売り手と買い手には相場価格についての考え方の違いがあります。現実のM&Aでは、この差異を踏まえて両者が価格をすり合わせて妥当な価格を決定します。

では次にM&A相場における価格の算出方法を見てみます。

2)M&A相場価格の算出方法は3つ!

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ここまでM&Aの相場には売り手と買い手で価格についての認識の違いがある事を解説しました。ここでは実際のM&A相場の算出方法について見ていきます。

M&A相場の算出方法には「修正純資産法」「DCF法」「類似会社批准法」の3つがあります。

【1】修正純資産法

修正純資産法とは、事業売却・会社譲渡する側の企業の財務諸表を参考に、企業の負債を時価評価した資産から差し引いて「企業価値」を算出する方法です。

その会社が持つ正味の金銭価値を算出できるので、M&A相場でもよく使用され、また、後述しますが中小企業M&A相場を算出する時に多く使用されます。

ただ、修正純資産法には、売買対象になる会社の「将来的価値」は含まれていないので、この算出方法だけで導かれた金額では納得できない売り手は多くなります。

【2】dcf法

大手企業による企業買収においてよく使われるのがDCF法です。Discounted Cash Flow(ディスカウント・キャッシュ・フロー)の略で、事業が産みだす期待キャッシュフロー全体を割引率で割引きして企業価値を算出する方法です。

キャッシュフローって何?という話なんですが株主と債権者に分配できるお金です。

修正純資産法との違いは、将来に期待できる価値も価格算出にプラスされるという点です。

算定式では、下記のような公式になります。

※企業価値=企業が生み出すフリーキャッシュフローの期待値を加重平均資本コスト(WACC)で割り引いた現在価値

またWACCという横文字が出てきました、これは会社の資金調達に伴うコストです。ザックリ言うと、将来的に生み出される純利益を会社のコストで割り引いて残ったのが企業価値という意味です。

※参考記事:経理プラス

【3】類似会社批准法

類似会社比較準法とは、M&Aの対象になっている会社と同一業種の会社の株価を元に相場価格を算出します。修正純資産法やdcfは、会社売買の対象になる会社の価値に焦点を置きますが類似会社批准法では対象会社の同一業種の株価に注目して価格を算定します。

この計算法では売買対象会社の価値が低くても、同一業種の会社の相場価値が高いと売買対象会社の価値も高くなる傾向があります。現在市場で株価が上昇している業種の企業を持つ経営者にとって有利な計算方法です。

3)売り手と買い手が満足するM&A適正価格とは

前述したように会社や事業を譲渡するサイドと買い受けるサイドでは企業の売買価格に大きな差が発生する事があります。ところが、実際には毎日のようにM&Aを利用した企業や事業の売買が成立しています。

何故かと言えば、M&A相場には適正な価格があり、ここに落としこんでいけば概ね売買交渉が成立するからです。そこで、ここではM&Aの適正価格について解説します。

【1】売買価格の算出

M&Aでは売買の適正価格は、譲渡しようという会社の「時価純資産」に「実質営業利益」を足して合わせる計算方法で算出されます。ここでいう時価純資産とは現在買収しようとしている事業や会社が現在営業している「事業の価値」を意味しています。

具体的に言うと、貸借対照表の簿価を「時価」に修正して、そこで出てきた純資産から負債を差し引いた金額が事業の価値です。そして、実質営業利益とはM&Aの対象になる企業が本業で得る事が出来る利益を指します。

この実質営業利益とは、売上総利益−諸経費から算出される営業利益から節税対策額を加えたものです。

つまり売買価格を算出する算式は

純資産(負債−時価純資産)+ 実質営業利益(売上総利益−諸経費+節税対策額)

このように表す事が出来ます。

4)M&Aは会社を売却するだけじゃない!

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ここまで大雑把にM&A 相場と書いてきましたがそのM&Aにも種類があります。そこで、ここでは事業売買と会社売買について解説します。

売買というと会社そのものを売るイメージがありますが会社の中の一つの事業を売却するM&Aもあるのです。

【1】事業売買とは?

事業売買はM&A案件に該当する事業のみを売却する事を意味しています。会社の一部を売るので、会社そのものを売る会社売買よりは価格が低くなります。事業売買と言っても現実には、事業を単体で売っても買い手に取ってメリットが低く高く売れません。

ですから、売却する事業だけを子会社化して本社から分離し事実上、個別の会社として売却する事もあります。

(1)事業売却にかかる税金

事業売却には当然、税金がかかります。しかも、会社の譲渡と事業売却ではかかる税金が大きく違うのです。

実際に事業を売却すると法人税40%と消費税8%が税金として支払われる事になります。仮に1000万円で事業を売却すると480万円が税金として持っていかれる事になります。売却価格の半分が税金なので下手をすると税金を払う為に事業を売却したような気分になります。

事業売却は、それなりの価格が見込めないと厳しくなります。

【2】会社譲渡とは?

会社の譲渡とは、事業一部門を売却するのではなく会社全体を譲渡する事です。

メリットは事業の一部門を売却するわけではなく、会社全体を売るので株式、不動産、工場設備、備品、従業員などが価格に加算され事業のみを売るより10倍以上も高く売れるケースもあります。

事業売買の項で書いたように事業売却でも一部門としてではなく、子会社化して売却した方が高く売却できるというのも上記の理由によるものです。

(1)会社譲渡にかかる税金

会社を譲渡する時の税金については、事業売却と違う税金が掛かります。しかも事業売却よりは安く済むのが特徴です。

まず、売却される会社の株主が個人の時には所得税と住民税が発生します。所得税15%、住民税5%で合計で20%が税金として支払われます。仮に、1000万円で会社を売買すると200万円が税金です。

売却される会社が法人の時には、法人税がかかる事になります。こちらは会社売却益の30%が税金として差し引かれます。

こうしてみると事業のみを売買する時より会社売買の方が税金は28〜18%少なくなります。また、会社売買の時には税金がかかるのは売り主のみです。

5)M&A仲介業者の手数料の種類

M&Aを個人で行うのは大変でありノウハウを持つM&A仲介業者を利用するのは賢明な手段です。ここでは、M&A仲介業者を利用する上での手数料の種類と金額について解説します。

【1】相談料

実際にM&Aをする前に仲介業者との間で事前相談をする手数料を相談料と言います。ここで相談を通して、そのM&A仲介業者が信用できそうか見定める事が出来ます。

仲介業者により、バラつきはあるものの仲介業者としても仕事を取らないといけないので基本的には、最初の相談料は「無料」としている仲介業者もあります。これは、他業者の「見積もり相談無料」と同じような考え方と言えます。

【2】着手金

M&A仲介業者との間で交渉が成立すると着手金を払う事になります。売り主との交渉が成立した時点で、仲介業者は買い手を探す為に人件費や資料作成費などを作成します。この段階では、まだ売買契約も結ばれていませんが、仲介業者が動き出すとコストが生じるので手付としての着手金が必要になってくると考えて下さい。

ひとつ注意しないといけないのは、着手金はM&Aに失敗しても戻ってこない事です。本当に信頼に値するM&A仲介業者か見極めないと着手金だけ支払って終わりになりかねません。

着手金という言葉には、十分に慎重になって対処する事をお勧めします。M&A仲介業者の着手金の目安は、100万円から500万円程度ですが、最近では着手金も無料にして成功報酬に繰り込んでいるM&A仲介業者も存在します。

【3】成功報酬

成功報酬はM&Aによる企業買収や事業売却が成立した時に、M&A仲介業者に支払う手数料を意味します。売り主としても首尾よく会社を売却した上で支払う手数料なので納得しやすい手数料と言えます。

仲介業者に支払う成功報酬は、基本的に「M&Aの取引金額×一定科率」で算出されていて、以下のような料率になっています。

M&A成立金額「5億円以下」5%
M&A成立金額「5億円以上10億以下」4%
M&A成立金額「10億円以上50億円以下」3%
M&A成立金額「50億円以上100億円以下」2%
M&A成立金額「100億円以下」1%

参考ブログ:M&A総合研究所

料率を見ても分かる通り、M&A成立金額が高くなればなるほど成功報酬の科率は低くなる傾向があります。しかし、5億円以下でも5%という事は、2500万円が手数料という事になります。

会社の経営者としては、こんなに高額な報酬を支払うのか?と思われるかも知れませんが、そうであればこそM&A仲介業者も真剣に優良な買い主を探してくるわけです。モチベーションの為の高額報酬と考えれば、そこまで高い手数料とは言えないと思います。

6)M&A企業価値を決める3つのアプローチとは?

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M&Aにおける売却金額は企業の価値によって決まってきますが、企業価値を算定する方法も大きく分けて3つあります。すなわち、コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチです。

ここでは、この3つのアプローチについて解説します。

【1】コストアプローチ

コストアプローチでは、企業の純資産の時価総額等を基準として企業価値を算定します。純資産とは、かつては、資本、自己資本、株主資本と呼ばれていたものです。貸借対照表における資産と負債を足し合わせて求められる純資産に焦点を当てた算定方法です。

【2】インカムアプローチ

インカムアプローチは、会社や事業の「将来期待される利益」からリスクなどを考慮した「割引率」で割り引くことで「企業価値」を算定する方法です。DCF法などは、このインカムアプローチの代表的な手法で企業価値算定の方法として広く用いられています。

【3】マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、市場において成立する売買価格を目安として企業価値を算定する方法です。こちらのマーケットアプローチは、さらに市場株価法と類似会社法の二つに分けられます。

市場株価法とは、M&Aの対象になる会社自体の市場価格や過去の株式取引の価格を基準として用いて企業価値を算出する方法です。

一方、類似会社比較法はM&Aの対象とされる会社と同業種の企業の市場株価、或いは類似の企業売買のケースで成立した価格を基準にしてM&Aの売却価格を決めていく方法です。

7)2つの交渉術を使い分けて会社を高く売れ!

M&Aの取引が成立する目安は、これまで説明してきたアプローチや価格算出方法で導き出しますが、これはあくまでも基準や目安を示しているだけです。

実際には、企業・事業を買収したい「買い手」と事業・会社売却をしたい「売り手」がお互いに交渉して価格を出し合い相場基準や目安を手掛かりにして、双方が納得できる金額まですりあわせて売買が成立するという過程を辿ります。

あなたがM&Aによって事業や会社の譲渡を検討しているなら、買い手と交渉する方法として以下の2つの交渉方法があります。

【1】個別交渉方式

個別交渉方式とは、企業買収・事業買収を検討している「買い手」の候補者リストから、自分達の条件に適合する買い手を一社選びその買い手と交渉する方式です。双方が合意に至ればM&A成功、もし合意に至らなければ候補者リストから別の買い手を選んで交渉をやり直します。

少なくとも買い手は、売り手の企業の買収に興味を示しているので、骨折り損になりにくく、売り手としては候補者が多くいて一番良い金額で自社を買ってくれる相手を探せるメリットがあります。

【2】オークション方式

オークション方式は、事業・企業売却を希望する売り手の情報を匿名公開する事で広く買い手を募り、集まった買い手の中から興味ある2・3社を候補先としてそれぞれにM&Aに関する条件を提示してもらい、一番高い価格を提示した買い手に売却する方式です。

事業や企業をできるだけ高く売りたい時に向いている方法ですが、オークション方式で決定された交渉相手とは必ず契約しないといけません。途中で離脱はできないので注意する必要があります。

8)M&Aを左右する見えない価値!

これまで解説してきたようにM&Aの取引金額の目安は会社の価値に大きく関わっています。しかし、実際には、会社の価値には貸借対照表の数字としては現れない「目に見えない価値」もあります。

こちらを把握しておく事も、M&Aを成功に導くために覚えておいた方が有利です。

【1】取引先

会社を譲渡したい売り手が、取引先を多く抱えていれば、買収する側は一から取引先を探すコストを削減する事が出来ます。

また、すでに出来ている取引先のネットワークから、新しいビジネスチャンスを見出せるかも知れません。多くの良好な取引先を抱えてる事も見えない企業価値です。

【2】従業員

M&Aの金額決定には従業員の存在も影響を与えます。買い手が新規市場に参入する上で、知識や技術を持った従業員を募集する事は絶対に必要です。

ところが、そのような都合の良い従業員を、一から探すのは大変です。仮に探せたとしても、新規市場でノウハウを蓄積し、利益を出せる存在になるまで買い手は時間と資金を使い我慢して待たないといけません。

M&Aで売り手の企業の従業員を丸々抱える事が出来れば、そんな苦労をせずに明日から利益を出す事も可能です。ですから、技術とノウハウを持ち意欲が高い従業員はM&Aの金額決定に重要な影響を持つのです。

【3】顧客リスト

企業買収を検討している買い手は、新規事業に参入しようとM&Aを利用するケースが多くなっています。新しく事業・ビジネスを開始すると「最初の顧客」を獲得するまでがとても難しいと言われます。その点、顧客リストを持っている企業を買収する事には大きなメリットがあります。

M&Aを成功させる上で顧客リストを持っているのは売り手の強みという事になります。

【4】市場シェア

買い手に取って買収しようとする企業が市場でどの程度のシェアを持つのか、これもM&Aの企業価値の重要な要素です。特に新規市場参入を考えている買い手は、大きなシェアを占めている企業は多少高値でも手に入れたいものです。

新規参入ではなく同業他社を買収するとしても、自社のシェアをより拡大できるので、広いシェアを持つ企業は高値で売れます。

【5】技術力

高い技術力や他社が持っていない、真似できない技術力をもっていればM&Aの際の売却金額は高くなります。技術力は、一朝一夕では手に入らない企業のTOPシークレットでありM&Aで手に入れられるなら資金を惜しまない買い手は多いのです。

【6】経営者のビジョン人柄

売りに出した企業の経営者の人柄やビジョンも、M&Aの際の売却価格に影響します。企業は従業員の集合体であり、その根本には経営者のビジョンや経営方針、人柄という見えない価値が隠れています。

利益を上げる事を最優先しているのか?社会公益を考えていたか?どんな理念を持って会社を経営していたのか?

これらの経営者のビジョンや人柄が、買い手と余りに乖離していると買収した企業を運営する時にトラブルが起きます。企業もまた法人という名の人ですから経営者のビジョンや人柄は、M&Aの際の売却価格に大きく影響します。

9)大企業だけじゃない!中小企業のM&Aの相場とは

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M&Aというと1億円とか10億円とかの世界の話で中小企業は縁のない話だと考えている方もいるようです。しかし、実際にはそのような事はなく1億円以下のM&Aも普通に存在します。

中小企業のM&Aも、基本的に大企業のM&Aと同じですが、企業価値、評価実務で支持されているDCF法などは、精緻な事業計画が前提になっていて、数字の取り方一つで価値が大ブレします。ですので、dcf法は中小企業の価格評価にはあまり適さないと思われます。

つまり、常に一定の金額が収支される大企業のような算定法は中小企業向きではありません。中小企業の企業価値を決めるのには、よく使われる計算式があり、ある程度合理的な相場感や目安というものがあるのです。

ここでは、中小企業のM&A売却価格について解説します。

【1】中小企業M&Aの算式

中小企業の企業価値の計算式は企業評価額=時価純資産+営業権(のれん)であらわされます。

時価純資産とは、貸借対照表上の資産項目と負債項目を簿価から時価に修正した場合の純資産です。一方で営業権(のれん)とは、実質利益×評価倍率で表されています。

(1)そもそも営業権(のれん)とは何?

事業譲渡で発生する営業権(のれん)とは、具体的には企業のノウハウ、立地、顧客へのブランドイメージです。のれんは目に見えるわけでもなく、税法などの法律にも定められていない無形資産の価値です。

原則、のれんは資産計上されない存在ですが、M&Aで処理する場合には勘定科目で資産計上されます。一見、古ければ古い程のれんの価値が高そうですが、あくまでも市場価値としての計上ですから、古くても資産価値が低いのれんも、新しくても価値が高いのれんもあります。

(2)中小企業M&Aの修正項目

中小企業M&Aには修正項目が必要になる事があります。理由は大企業と違い帳簿外になっている金銭が数多く存在し、それを帳簿に繰り込まないと実質的な企業価値が分からない事が多いのです。

主な修正項目は以下のようなものです。

・売掛金:回収不能なものは評価ダウンになる
・商品在庫:不良在庫は負債となり評価ダウン
・不動産:取得時の相場環境により含み損や含み益が発生している
・保険:解約返戻金と帳簿価格の差額を確認する
・退職金:退職金給付引当金を帳簿に計上せずに簿外債務になっている
・賞与:賞与引当金を計上せず、簿外債務になっている

特に不動産や退職金は金額が大きく負債として企業価値の評価に大きく影響します。

それが貸借対照表に記載されないと正確な企業評価額が出せないので、こちらはM&A時にちゃんと検証して買い手が納得する透明性を確保します。

(3)営業権(のれん)の実質利益

営業権(のれん)の実質利益にも、帳簿には出てこない部分があります。例えば役員報酬を多額受け取っていたり、節税の為に保険に加入したり金融商品を購入していたり、社長のプライベートな経費を会社で払っているなどです。

これらの実質利益もしっかり帳簿に記載して実際利益として計上します。

※営業権については、以下の算式で計算します。

・企業評価価値=譲渡する資産時価+営業権(のれん)

・営業権(のれん)=実質利益(過去2~5年の平均税引き後の利益)×評価倍率(2~5培)

※参考記事:M&A総合研究所

リーマンショック以前は、営業権の評価倍率は、実質利益の3~5倍と言われてきましたが現在、営業権は総じて魅力が低下しており、よほどの優良企業でないと、のれんが5年分付く事は無いと言えます。

普通の中小企業では、のれんは1~3年分と考えた方がいいでしょう。

【2】中小企業M&Aは市場需要に強い影響を受ける

赤字企業の評価額が低いのは当然ですが、中小企業の場合には黒字であっても、M&A市場で活発な売買がされていない業種の場合には、のれんがゼロ、またはマイナスつまり売買額が純資産に割り込むというシビアな事もあります。

評価倍率については、自社がM&Aマーケットで人気がある業種か、そうでないかでも違ってきます。人気がない業種なら買収に積極的な買い手も少ない事になり、M&A交渉ではまた別の努力が必要になるからです。

事業や会社の譲渡を考えている株主・経営者の方は、自社の業種を把握し、現在の市場における強みと弱みをしっかりと把握しておくことが、M&A相場を見る上では大事な事です。

このように中小企業のM&A 相場では大企業とは違う特徴があり、それを把握する事で実りあるM&Aを実現できます。

10)M&Aの相場に関するQ&A

Q&A

以上、M&A相場について解説してみました。しかし、実際にM&Aで自社を譲渡しよう、或いは事業を拡大しようと考えたとしても八百屋で大根やニンジンを買うのと違い失敗が許されるものではありません。

人生を注ぎ込んだ自社の将来がかかる事なので、不安になるなというのが無理です。そこで、ここではM&A 相場についての疑問や質問について紹介します。

【Q1】従業員待遇を守ってくれる売り手に自社を売却したいが契約に盛り込めるの?

日本の中小企業には、社長も従業員も一つの家族という結びつきの強い会社もあります。やむを得ず自社を譲渡するが、会社に残る社員の待遇を何とか守りたいというのは経営者の心情は理解できます。

結論から言えば、M&A仲介業者を通じて従業員の雇用維持や待遇維持に関する条件をM&Aに盛り込むのは可能です。

買い手としても、それまでの企業の社風や待遇を大きく変更して従業員に辞職されたり、モチベーションを下げられてしまっては、企業を買収した意味が失われるので交渉に応じる余地はあります。

そればかりではなく、会社を譲渡した後の旧経営陣の関与など売却後の様々な条件を盛り込んで交渉するのは可能です。

【Q2】M&Aはどの程度の売り上げがあれば可能なの?

M&Aというと大手企業でないと縁がないようですが実際は企業のM&Aに会社の規模は関係ありません。仮に赤字を計上していても、債務超過に陥っていても、その会社が持っている有形・無形の財産に価値を見出す買い手がいればM&Aは成立するからです。

但し、企業規模が小さい場合には、買い手もまた中小企業になってくる可能性が高くなり、その業界に豊富な人脈を持つアドバイザーがいないと買い手を見つけてくるのは困難が予想されます。

ですので、中小企業のM&Aについて実績が豊富な仲介業者に依頼する事が成功の近道だと思われます。

【Q3】良いM&Aアドバイザーを選ぶコツは何?

M&Aアドバイザーについて決められた資格はありません。決められた資格がないという事は、名ばかりのM&Aアドバイザーも残念ながら多くいるという事です。そのようなアドバイザーを信頼してしまうと手数料だけ取られて何も得る物がない結果になります。

得るものがないならまだしも、アドバイザーによっては、企業評価価値を過大、逆に過少に見積もり、企業を法外に安く売却する羽目になったり、デューデリジェンスが不十分なまま契約を結び、後になって簿外債務が発見されたり、甚だしくは企業の情報が漏洩してしまい、既存の取引に悪影響が生じるなど、会社の存続が危ぶまれるトラブルに発展するケースもあります。

それを防ぐためには、アドバイザーが幅広いネットワークを持ち、また、法務、財務、税務などの専門知識に明るく、弁護士、公認会計士、税理士などの専門職についているだけでなく、実際にビジネスマンとしてM&Aの実績を多く持っているか?などを確認する必要があります。

また、アドバイザーが着手金だけを目的とした調子のよいビジネストークだけが上手であったり社会人としての配慮が非常に欠けていて、無礼な印象を受ける時も要注意です。大金が動くダイナミックなM&Aは、些細な意見の齟齬やコミュニケーション不足が原因で破談になる繊細な世界でもあります。

「優秀なM&Aアドバイザーは誠実なビジネスマンでもある」というのは真理なのです。

11)この記事のまとめ

M&A相場についてまとめてみますと、

【1】M&Aとは、Merger & Acquisitionの略で狭い意味では「事業・会社の売買」を意味している。

【2】M&A相場とは、譲渡したい会社の金銭価値について市場の基準や目安を元に決定する。

【3】M&A相場の算出方法には「修正純資産法」「DCF法」「類似会社批准法」の3つ。

【4】M&Aには見えない価値があり、技術、従業員、シェア、顧客、経営者理念などがある。

【5】M&A相場では大企業ばかりではなく中小企業も売買されている。

以上がM&A相場まとめのポイントになります。

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