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要注意!合同会社の売却前に知っておくべきポイントとは

説明するビジネスマン

合同会社は、2005年制定の会社法により設立された会社の一形態で、社員全部が有限責任社員なのが特徴です。しかし、合同会社は株主会社と似ている点と違う点があり、特に会社を売却する場合に大きな違いがあります。この記事では合同会社売却の方法と注意点を解説します。

1)合同会社と株式会社との違い

合同会社も株式会社も(株主・持分保有者)の有限責任性が確保された会社です。有限責任性とは、会社が倒産した場合に取るべき責任が自分の株式や持分を失うだけで済むという意味です。しかし、一方で合同会社は株式会社と違い、民法上の組合に近い特徴を持っています。

合同会社の売却について解説する前に、株式会社との違いを見てみましょう。

【1】会社法に見る合同会社の特徴

合同会社は民法上の組合に近い特徴を持っています、会社法によるとその違いは以下の通りです。

・株式会社より強行法規が少なく定款自治の範囲が広い

・株式総会という必要常設機関がなく取締役の選任も要らない

・合同会社の業務執行権及び代表権は社員(法人も可)により行使される(会社法590、599条)

・合同会社では出資比率に関わらずに損益分配を決定できる(会社法622条)

・会計監査人設置義務、決算公告義務、現物出資に関する検査役選任義務がない

・定款変更に社員全員の同意が必要(会社法637条)

・社員の持分譲渡に原則社員全員の同意が必要(会社法585条一項)

このように、持分の多い社員の数の力を制限して多数決の原理を緩和し社員に平等に力を与えているのが合同会社の特徴です。

【2】図表で見る合同会社と株式会社の違い

組織としての合同会社と株式会社の違いは以下の通りです。

●合同会社

構成員の責任・・・・・・・・有限
所有と経営の関係・・・・・・所有と経営の原則一致
定款の自治・・・・・・・・・広い
利益分配・・・・・・・・・・出資比率に比例しない
会計監査人・・・・・・・・・不要
決算公告・・・・・・・・・・不要
現物出資に関する検査役選任・不要
定款変更・・・・・・・・・・原則社員全員の一致(原則)
持分譲渡・・・・・・・・・・社員全員の同意(原則)

●株式会社

構成員の責任・・・・・・・・有限
所有と経営の関係・・・・・・所有と経営は分離している
定款の自治・・・・・・・・・比較して狭い
利益分配・・・・・・・・・・原則出資比率に従う
会計監査人・・・・・・・・・必要(会社の種類により)
決算公告・・・・・・・・・・必要
現物出資に関する検査役選任・必要
定款変更・・・・・・・・・・株主の議決権の2/3以上の可決(原則)
持分譲渡・・・・・・・・・・原則として自由だが制限も可能

このように合同会社は株式会社と違い、所有と経営が一致し、定款変更は全員一致でないとならず、持分の譲渡も全員の同意が必要です。全体的に社員の力が均等して、他所から人間が入り込めない形態になっています。

参考サイト:BusinessLawyers

2)合同会社を売却する、メリット・デメリット

ビジネスマン

上記の部分では、合同会社と株式会社の同じ部分と違う部分を解説しました。では、株式会社ではなく敢えて合同会社を設立するメリットとデメリットはなんでしょうか?

合同会社売却の前に、そのメリット・デメリットについて解説します。

【1】合同会社メリット

合同会社には下記のようなメリットがあります。

①設立費用が安い
②役員の任期定めなし
③決算公告の義務なし
④利益分配が自由
⑤柔軟性が高い

(1)設立費用が安い

合同会社のメリットには、どんな事があるのでしょう?合同会社は株式会社に比較して設立費用が安くてすみます。

例えば、株式会社を設立する時には、登録免許税で最低15万円、かつ定款認証が必要でそれが5万2千円掛かります。つまり、株式会社は設立までに最低でも20万2000円が必要なのです。

一方、合同会社の設立費用は、登録免許税「資本金額×0.7%(最低6万円)」のみです。株式会社と違い定款認証は必要ないので印紙は不要です。

※ただ、電子定款認証の設備導入に費用がかかるので手数料を支払い行政書士、司法書士に定款の電子署名を頼むのが一般的でその費用は別途必要。合同会社は、設立段階では最低6万円から設立でき株式会社の1/3の費用なのです。

(2)役員の任期

合同会社には、役員の任期の定めがないので、役員の変更がなければ、変更登記の費用が掛かりません。逆に株式会社だと、役員任期は最長10年と決まっていて、実質的な役員交代がなくても役員の登記(変更なしなら重任登記)が必要で費用が掛かります。

(3)決算公告

株式会社の場合、決算を官報などに公告する義務がありますが、合同会社には義務がありません。決算公告は貸借対照表や損益計算書などを官報や新聞、webサイトに公告する義務ですが、合同会社の場合は会社の経営状態を外に知らせなくていいのです。

(4)利益分配が自由

株式会社では、出資金に応じて株式を取得しますので、その株式の保有数に応じて利益を分配します。逆に合同会社では、持分に応じて利益を分配する必要はなく、社員の取り決めによって分配額を自由に決められます。

(5)柔軟性が高い

株式会社の場合にはある経営行動を取ろうとしても、株式総会など幾つかの機関の承認が必要です。また、所有と経営が分離している場合には、執行部と株主が対立してスムーズな経営が難しくなる時もあります。

しかし、合同会社なら、すべての社員が平等に代表権と業務執行権があり、取締役や監査役という役職もないので迅速な意思決定が可能です。

参考サイト:会社設立完全ガイド

【2】合同会社デメリット

ここまでは合同会社のメリットについて見てきましたが、合同会社には下記のようなデメリットもあります。

①信用が低い
②上場が出来ない
③人間的対立が経営に影響する
④多数決が通用しない

(1)信用が低い

合同会社は株式会社よりも安価で設立でき複雑な手続きを必要としないので、社会的信用は株式会社よりは低くなります。実際には大企業も合同会社の形態を採用していたりしますが、それを前面には押し出しません。イメージの問題があるためです。

(2)上場が出来ない

株式会社は上場によって、市場から資金を集めてより会社を大きくできます。しかし、合同会社にあるのは、株式ではなく持分なので会社変更手続きを取らない限り上場できません。

(3)人間的な対立が経営に影響

合同会社には、すべての社員に平等に代表権と事業執行権があります。しかし、裏を返すとそれは全体一致で経営を進めないといけないという事であり、社員同士が対立すると急激に経営が進まなくなります。

特に、定款変更や持分譲渡は原則、全社員の合意が必要で、経営が上手くいかない為、組織を変更しようとしても簡単にはいかないのです。

結果、社員が離脱する事になると、その分だけ会社の資本金が減少して会社の基盤が弱くなってしまいます。

(4)多数決が通用しない

株式会社なら、過半数以上の株式を保有する株主や法人の意見が通ってしまうので強権的に経営を進められます。ところが合同会社では、すべての社員が出資額に関係なく議決権を1ずつ持っています。一人の株主が多数の議決権を保持できないので多数決が通用せず、強権的な経営が出来ないのです。

参考サイト:健美家KENBIYA

3)合同会社の売却、事業譲渡、吸収合併は可能?

ホワイトボード 男性

ここまで、合同会社と株式会社の共通点と相違点、合同会社のメリット・デメリットを解説しました。では、合同会社を売却するとなるとどうなるのでしょうか?

この章では、合同会社を売却する方法や売却の問題点について解説します。

【1】合同会社の売却や事業譲渡は可能?

実際問題として、合同会社がそのまま売却できるかというと難しいと言わざるを得ません。

その理由としては、大きく以下の2点が挙げられます。

①:合同会社の持分を譲渡するには社員全員の承認が必要

②:持分を承継して合同会社に出資しても議決権は1しかなく会社を支配できない

最初の関門として、合同会社の経営に参画するには持分を持っている社員から持分を譲渡してもらわないといけません。しかし、合同会社では持分譲渡に社員過半数(定款の定めがある時は総員)の同意が必要なので株式会社のように譲渡は簡単ではないのです。

また、仮に社員として認められたとしても、社員としての議決権はいくら出資していたとしても1でしかありません。これでは、合同会社の経営を支配したとは言えず買収する意味がないのです。合同会社を売却する時には、会社変更手続きをして、株式会社に形態を変更しないと売却は難しいでしょう。

逆に合同会社が株式会社を買収するのは、特に問題ありません。

参考サイト:whats合同会社

【2】合同会社の事業譲渡は可能

合同会社そのものを売却するのは、買収するサイドのメリットが少なすぎるので難しいと解説しました。しかし、事業譲渡であれば、合同会社のままでも可能です。事業譲渡は、会社を存続したまま会社の事業の一部、または全部を売却する事を意味します。

会社売却と違い包括的ではなく、個別に必要な事業だけを選んで売る事ができるので売り手にも買い手にもメリットがあります。事業譲渡をすると、事業における資産、負債、取引先や契約上の地位も買収先の会社に変更されるので契約先の債権者の同意が必要です。

例えば、取引先との契約、自動車やOA機器や機械などのリース契約、従業員の雇用契約などが結びなおしになります。合同会社においての事業譲渡は総社員の同意ではなく、通常の業務執行として社員の過半数の決定でよいとされています。

ただ、事業譲渡は経営に直結する重要な決定事項なので、定款において総社員の同意が必要と定められている会社もあります。もちろん合同会社で事業譲渡をしても会社の地位そのものに変化はなく、そのまま存続できます。

参考サイト:合同会社設立ドットネット

【3】合同会社の吸収合併

吸収合併については、特例有限会社を存続会社とする場合を例外として、合同会社、合資会社、合名会社、これらのいずれの形態の会社とも可能です。ただ、株式会社と持分会社(合同、合資、合名会社)との間の合併では多少異なる部分があります。

例えば、合併により株式会社が消滅し、持分会社が存続となり合併会社が対価として消滅会社の株主に対して持分会社の持分が交付される場合、会社法783条2項の定めにより、消滅会社の総株主の同意を得ないといけません。

また、消滅する株式会社が種類株式を発行している場合も、存在する合同会社の持分を交付される種類株主全員の同意を得る必要があります。

このような措置は、株主の立場から持分会社の社員という法的に異なる立場になる事についての保護規定です。

(1)新設合併

新設合併の場合、合同会社と株式会社との合併は可能でしょうか?新設合併も、特例有限会社が存続会社になる合併以外は、合同、合名、合資、株式、どんな形態との会社とも可能です。

そして吸収合併の場合と同様、存続会社が合同会社になる場合に、存続会社が持分を消滅会社の株主に交付する時は、消滅会社の総株主の同意が必要です。

参考サイト:M&A online

4)合同会社の売却、株式会社への変更手続き

計算する女性

合同会社を売却したいが、そのままでは買い手がつきにくいとなれば会社を変更するしかありません。合同会社から株式会社へ変更するには、どんな手順を経ればいいのでしょうか?

【1】合同会社から株式会社への変更手続き

合同会社から、株式会社へ会社の形態を変更する手続きは以下の通りです。

①社員全員の同意
②債権者保護手続き
③登記申請

以下では、それぞれの手順を詳しく解説します。

(1)社員全員の同意

会社の変更は重要事項なので、社員全員で合同会社から株式会社への移行の是非について議決をします。その上で全員が同意した時に会社の変更が可能になります。

(2)債権者保護手続き

会社の形態を変えるのは、債権者にとっても重要事項なので債権者保護の手続きをします。

具体的には、債権者に対して以下のアクションを取ります。

①官報公告・・・官報に異議申し立てが出来る旨を公示します。

②個別催告・・・さらに個別の債権者に対して異議申し立てが出来る旨を書いて送付します。

債権者は会社の変更に異議がある場合には、合同会社に弁済(債務を支払う)や担保を請求する事が出来ます。

(3)登記申請

債権者への催告は一カ月の猶予ですので、その間は異議申し立てを待ちます。一カ月が過ぎたら今度は法務局で登記申請に入ります。必要な書類は下記の通りです。

・組織改編による株式会社の設立登記申請書
・組織変更に関する総社員の同意書
・就任承諾書
・広告及び催告をした証明書
・登録免許税施行規則12条4項の規定に関する証明書
・合同会社の組織変更による解散登記申請書
・組織改編計画書
・定款
・決定書

これらの書類は法務局のサイトでダウンロードできますので、それをまとめてホチキスで留めるだけです。

【2】必要な物と経費

会社の変更に必要な物と経費は以下の通りです。

・必要なモノ

①印鑑証明書・・・・取締役に就任する人全員分(登記の日から3か月以内)

②新しい印鑑・・・・合同会社の印鑑そのままでも可

・経費

③官報公告費・・・・約35000円(行数により異なる)

④登録免許税・・・・約6000円(資本金2000万円以内)

参考サイト:簡単会社設立

5)合同会社の売却に関するQ&A

Q&A

ここまで、合同会社について、その組織やメリット、デメリット、売却の問題についてを解説しました。ここからは、前章までに触れて来なかった合同会社売却についての疑問、質問について解答致します。

【Q1】株式会社が合同会社を親会社にするケースが増えているようですが、どんなメリットがあるのですか?

合同会社は、設立された後に既存の企業と株式交換をする事で企業の完全な親会社になる事が出来ます。子会社化される前の企業が株式会社だった場合、複数の株主が存在し、多数の権利者が存在する状態が普通で、経営権の掌握が難しい時があります。

そこで、合同会社が親会社になる事で、株式交換で子会社の株式は全て持分に換え経営権を独占する事が出来るメリットがあるのです。

【Q2】合同会社と言うと中小企業のイメージですが、大企業でも合同会社に組織変更する事があるのですか?

例えば、DMM.comグループは、組織変更に関して合同会社の組織を選びました。もし、上場して資金調達をする必要がなく、一人で100%の持分を保有すれば、経営の全てを独裁できるので合同会社でも不都合はありません。

但しDMM.comグループが合同会社になっても、DMM社の親会社である株式会社DGホールディングスは依然として株式会社で、傘下にも株式会社があります。

今回のDMM.comグループの組織改編は、DMM.comグループについて、合同会社の形態が適していたという事でしょう。

【Q3】株式と持分の違いを分かりやすく教えて下さい

株式も持分も、会社の経営に参加する事が出来る権利のようなものです。しかし、この二つには大きな性質の違いがあります。

①:株式は自分の保有分を自由に売却できる(第三者が経営に参画するのが容易)

②:持分は原則、全ての社員の賛同がないと売却できない(第三者が経営に関わるのは難しい)

③:株式は保有する株が多いと議決権が強まる。持分は出資金に関係なく議決権は平等

この特性から株式会社は株を売却したり、新株を発行して株主を増やす事で大きな資金を得られますが、持株会社はそれが出来ません。

逆に、株式会社は資金を得るのは容易でも、株主の力関係で経営が左右されやすく、持分会社は資本金に関係なく議決権が1なので経営が円滑です。

6)この記事のまとめ

合同会社売却に関する解説は以上です。まとめてみると合同会社売却については以下のポイントがあります。

●合同会社は所有と経営が原則一致し、定款の自治が広く監査機関を省略でき、持分譲渡や定款変更に社員全員の同意が必要な組織である。

●合同会社のような会社形態を持分会社と言い、合名会社や合資会社も同じ分類に入る

●合同会社のメリットには、設立費用が安い、利益分配が自由、決算公告の義務がない、役員の任期がないなどがある。

●合同会社のデメリットには、信用が低い、上場が出来ない、数の論理が通用しない、社員同士の人間関係が経営に影響する等がある。

●合同会社は、経営と所有が一致し、持分の自由売却も出来ず、議決権平等などの特徴から組織改編をしないと売却が難しい

●合同会社は、持分を100%保有すれば排他的経営が可能のため、資金調達などの必要がなければ大企業でも合同会社の形態を選択する事がある。

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