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薬局のM&Aに関する基礎知識!薬局業界の行く末は?

薬局 若い女性 薬剤師

薬局業界のM&A事情とは。薬局業界は大きく分けて3つの種類、「ドラッグストア」「門前薬局」「面分業薬局」に分けられます。ここではそれぞれの特徴と、今後の動向などについて考察し、薬局業界のM&Aについて解説していきます。

1)まずは知っておきたい、薬局の種類とそれぞれの特徴(M&Aに至るまでの実情)

薬局には大きく3つの種類があります。今回は細かな部分までの深堀はせずに、3つの種類について分かりやすく解説をしていきます。

【1】ドラッグストア

2018年度のドラッグストラ売上高ランキング上位は下記になります。

1位のウエルシア薬局
2位のツルハドラッグ
3位にコスモス薬品
4位にマツモトキヨシ
5位スギ薬局
6位サンドラッグ
7位ココカラファイン

ドラッグストアの中には、お酒や日用品を一緒に販売しているところもあり、薬局という分野にとらわれずスーパーマケット化しているのが特徴で、大手の地域戦略により、勢力を拡大していっている業界です。

調剤(病院のお薬を受け取る)を併設している店舗もあり、ドラッグストアが近くオープンすることになったら、小さな薬局からすると戦々恐々としてしまうのが実情でしょう。

【2】病院の近くに立地し、その場でお薬を出してもらう門前薬局

調剤薬局と言えば門前薬局が代名詞でしょう。医薬分業が進み、医療は病院、薬は薬局でという流れで、病院の近くにお薬をもらえる薬局があるケースがほとんどで、そういった、病院の近くにある薬局を「門前薬局」と呼びます。

その病院からの患者さんがほとんどなので、病院に合わせた薬を用意すればよく、在庫リスクが少なく、顧客開拓の必要ありません。

【3】どこの病院のお薬でも出してもらえる面分業薬局(地域型薬局とも言われています)

駅前とか、商店街にあるケースが多いですが、地方だと、普通に街中にもあります。

地域のおじいちゃん、おばあちゃんが相談に行きやすく、患者さんごとの管理が門前薬局よりもやりやすく、「かかりつけ薬局」という立ち位置を目指される店舗が多いのが特徴です。

2)それぞれの良いところや問題点は?(M&Aをする理由を探る)

薬局 男性

それぞれの業態に、メリットやデメリットなどがあります。

【1】ドラッグストアのメリットや問題点

それぞれの会社によって方向性が異なりますが、基本的には店舗数が多く、そのスケールメリットを活かせていることです。例えば、在庫のロット数での購入による単価削減、薬剤師のローテションにおける、急な休みや退職においても補充がきくというところです。

また、最近では調剤ができるドラッグストアも増えてきており、薬を受け取るついでに日用品を購入するというユーザー層も獲得できているところもメリットです。

考えられる問題点は、シェア争いが過熱しており、地域にいくつもドラッグストアができると、一気に売り上げが激減するということも考えられます。後述する、M&A(買収、譲渡)においても加速傾向にあり、薬局業界はドラッグストア業界から先に寡占状態がおとずれることでしょう。

【2】門前薬局のメリットや問題点

門前薬局は決まった病院から患者さんが流れてくるため、ある程度の売り上げが読み込めます。在庫リスクも小さく、「最近までは」、楽な商売と言われることもありました。

この門前薬局の問題点は、2016年の調剤報酬改定により、いただける薬剤報酬が引き下げられたことです。決まった病院からの患者さんがターゲットのため、処方箋を持ってくる患者さんが急に増えるわけもなく、収入が単純に減るだけになってしまいます。これにより、企業努力をしないと生き残れなくなってきました。

【3】面分業薬局のメリットや問題点

2016年に国が「かかりつけ薬剤師」や「かかりつけ薬局」という方針を打ち出してきました。

この「かかりつけ薬局」というのは、地域の患者さんのことを詳しく理解して対処できる薬剤師にはお金を多く払うという制度です。地域型の薬局はその制度に入りやすく、より患者さんよりのサポート体制を整えやすくなります。

問題点としては、近隣へのドラッグストアの乱立における収支減リスク、「かかりつけ」の制度に24時間のサポートが義務付けられているため、薬剤師の確保の難しさ、個店でやっているところが多くので「替え」の効かない経営体制などでしょう。

3)群雄割拠か!寡占か!薬局業界のM&A

薬局

一足先に、ドラッグストア業界が戦国時代に突入しました。勢力争い、店舗数や売り上げなど、あらゆる手を使って、差別化やスケール化を図っているようです。

【1】激震!ココカラファインの争奪戦!これがドラッグストア業界のM&Aか!

2019年4月26日に業界4位のマツキヨがココカラファインと「資本業務提携」を検討していると発表しました。すると 2019年 4月28日には業界5位のスギ薬局が、ココカラファインに「経営統合を踏まえた提携」を申し入れたようで、2019年 6月1日に「スギ薬局とも協議をする」とココカラファインは発表しました。

慌てたマツキヨは、それならこっちも!と「経営統合を踏まえて検討してくれ」とココカラに申し出したようで、2019年 6月5日には、「マツキヨとも経営統合で協議をする!」と発表がされています。

マツキヨ、スギのどちらと経営統合しても、業界1位のイオン系のウエルシア薬局を抜いて、業界最大のドラッグストアができあがります。

【2】コンビニ業界に見るドラッグストア業界の行く末

業界1位のウエルシアホールディングは2014年の11月イオンと資本業務提携し、元々、イオンの傘下だった中堅中小の薬局を次々と飲み込んで急成長しました。翌2015年には、22年間業界トップだったマツモトキヨシを抜き、2016年以降は圧巻の首位に降臨。

これはコンビニ業界が先に歩んでいた道で、今ではコンビニ3強(セブン、ファミマ、ローソン)が当たり前になっていますが、当時、2010~2015年あたりは、コンビニ業界でも劇的な再編が繰り返され、小さな商店を経営→コンビニ店に経営譲渡→大手3強によるM&A、が相次ぎました。

ドラッグストアの商圏は1店舗あたり1万人ほどでしたが、今では6000人程度までせまくなってきており、ドラッグストア業界も、「近い将来、3~5強に落ち着くのではと考えられています。

【3】商圏争い!加熱するドラッグストアと個店薬局!

ドラッグストアと違い、個店薬局(門前薬局/面分業薬局)は、顧客とのつながりが、より強く影響される業界。しかしながら、それぞれに、ドラッグストアの影響は異なります。

門前薬局であれば、ドラッグストアが調剤を始めて、広告や日用品ポイントバックなどを打ち出すことで、今まで流れてきていた患者さんが、「ついでにドラッグストアに行くから」と、調剤数を奪われる可能性があるかもしれません。たとえ、病院、クリニックとのつながりが強かったとしても、国の重なる様々な制度で、調剤薬局の分散化が考えられないことではないです。

面分業薬局は露骨に影響が出るでしょう。コンビニ業界で言えば、近くの個人商店が、コンビニに変われば、喜ぶ人の方が多いのが消費者の価値観というものです。

4)門前薬局、面分業薬局の行方 M&Aの足音はすぐそこまで!?

薬局 若い女性 薬剤師

一足先のドラッグストア業界の寡占は対岸の火事ではないかもしれません。門前薬局、面分業(地域型)薬局にも転機がおとずれているようです。

【1】すでに調剤薬局業界でもM&Aが盛んになってきている?

2018年の現時点での売り手の多くは、年配経営者の個人薬局が多いようです。厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概要」によれば、60歳以上の薬剤師が全体の20%弱を占めます。そんな中、親族への事業承継は4割に留まるのが現状で、半分以上は、廃業にしてしまうのか、第三者への事業譲渡を行っている、ということがわかります。

薬価や報酬制度の改正により利益の落ち込みが予測されていて(すでに落ち込みを実感している店舗も!?)、買い手と売り手、薬局ではそれぞれの理由でM&Aによる譲渡、買収が進んでいます。

【2】薬局のM&A! 売り手側のメリットは?

(1)後継者問題の解決~志を継続した事業承継~

薬局経営の譲渡を検討する1番の理由は「後継者不足」です。自らが高い志と思想で、起業した薬局経営を譲り渡すにはそれ相応の覚悟が必要でしょう。

ただ、個人経営の方への譲渡や、親族や従業員の中に、その志を引き継ぐにふさわしい人物が見つからないこともあります。そこでM&Aを行い自社の売却を検討することで、経営を任せられる人材の確保や、相応の企業を探すことが可能になります。

(2)大切な従業員の雇用体制、患者さんや病院とのつながりを引き継いでもらえる

心苦しいですが、先細りが見えた店舗様には「廃業」も一つの選択肢としてよぎるはずです。そんな時の心配事のひとつである、従業員の雇用、そして患者さんや、病院、クリニックとのつながり。

M&Aによる譲渡は、仲介業者や、買収先の企業が手厚くサポートして引き継いでくれるのもメリットのひとつです。

(3)質の高い薬剤師や人材の確保が可能になる

雇用している薬剤師さんが高齢な場合や退職予定の場合など、今のままの経営状況では、安定した患者さんへのケアが満足にできなくなるかもしれません。

例えば、大手のグループ企業への譲渡だと、大手企業のブランド力を活かして、積極的な採用活動、適切な人材教育により、質の高い人材や人数の確保が可能になります。

長年支えてくれた従業員にも、満足を継続できる雇用体制を整えることは一つのメリットかと思われます。

また、「お薬のお渡しの場」から、医療や介護福祉と連携した「地域の医療センター」への変貌を遂げた例もあり、薬剤師としての活躍の場の提供になったという体験談もあります。

(4)スケールメリットを活かしたコストカット/ITの導入による業務効率の改善

無駄の無い在庫管理や、適切な人員の配置が可能になり、発送コストや仕入れコスト、人件費の削減につながります。また、大手の資本力を生かして、最新のITシステムの導入により、業務効率の改善、スピード化、正確化が図れます。

安全と安心の医療確保には、もはや必要不可欠の設備かもしれません。

【3】まだまだ、譲渡を考えるのは先かな?でも目先の収支減に対してどう動けばいいの?

ご家族に引き継いだ薬局経営、働ける人員も居るし、M&Aを考えるのはまだまだ先かな~?と思われる方もいらっしゃると思います。しかしながら、スピード速く移り変わるのが世の常、気が付けば何も手を打てていなかった、なんてこともあるでしょう。

今まで、2年に一回の薬価改定が、21年度より毎年改定されることになります。そんな中、老舗薬局は今後どうしていけばいいのでしょうか。ひとことで言うと、企業努力に尽きるかと思います。

厚労省が唱える「2025年までにすべての薬局をかかりつけ薬局に」を念頭に、地域に根差し、患者さんに向き合った努力が必要です。

門前薬局も、面分業薬局も、すべての目線は、患者さんを見た経営活動にすれば、自然と「地域」を意識した経営ビジョンになっていくと思います。

4)薬局M&AにおけるQ&A

Q&A

【Q1】複数店舗を持つ調剤薬局はどうすればいい?

調剤報酬の引き下げが適用されれば、利益は下がる一方です。複数店舗を持つグループ調剤薬局も同様です。従業員の雇用を守っていくためにも、いくつかの店舗を手放す、もしくはグループ全体で譲渡するということも考えるべきでしょう。

【Q2】薬局のM&Aって、いくらくらいで売れるの?

M&Aによる薬局の価格相場は、下記の3つの基準で決まります。

純資産価額(すべての資産から、負債を差し引いた額です)

営業権(営業利益の3~5年分が相場とされています)

月間の技術料と処方箋の数(毎月の調剤技術料と処方箋の数を知ることで売り上げが把握できます)

【Q3】M&Aにかかる期間はどれくらい?

平均で半年~1年ほどの期間を要します。業績が落ち込んでいたり、高額な譲渡額を望んでいたりすると長引くようです。

【Q4】金銭的にはどんなメリットがありますか?

譲渡の際にかかる税金は20%と低いため、売却益の獲得に関しては、「創業者利益」として、老後のゆとりある生活に活用できるケースが多いようです。また、別の事業を立ち上げる際の資金として、薬局事業を売却するケースもあります。

【Q5】M&Aをすると決めたけど、従業員や病院にはなんて言えばいいの?

従業員や病院に自分で伝えることはあまりおすすめしません。そういった状況の時には、間に立つ仲介業者がうまく立ち回ってくれます。彼らはその道のプロなので、みんなが納得のいく形でスムーズに進むことができるのです。

5)この記事のまとめ

薬局の売却、譲渡をおこなった方々は、どのような状況下の中で売却という道を選んだのでしょうか。

他の方の売却に至る経緯、理由をまとめました。

【1】:上記に挙げた、様々な理由から今のままでは経営を続けていくことが難しいと判断

【2】:それでも「廃業/閉鎖」はしたくないとう強い思いや、店舗を立ち上げたときの志

【3】:病院や患者さんとの関係値による「廃業/閉鎖」できない現状

そういった流れで、M&Aを検討し、実行に動かれたオーナー様が多いようです。すでに、ドラッグストア業界は寡占が始まっています。個人薬局業界にも、毎年の改正や時代の移り変わりで「現状維持は衰退」という、待ったなしの状況です。

シンプルに選択肢をあげるとすれば、

(1)企業努力による差別化した地方型薬局として新たな道を模索する

(2)創業時に思い描いた志を受け継ぐ譲渡先を探す

このような選択肢ではないでしょうか。

「薬局」という、私たちにとって、無くてはならない存在は、迫りくる、いや、すでに始まっている、大きな再編の波に立ち向かうため、日々、苦悩と努力をしているんだと、あらためて感じました。

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