未分類

2019年M&A業界の動向!業界別の動向を徹底解説

道しるべ

2018年に日本企業が関連するM&Aの件数は公表ベースで3850件と2017年比26%増、金額は30兆円と220%増でした。これは過去7年連続で最高を記録し活況を呈しています。では、2019年以降のM&A業界はどうなるのでしょうか?業界別に予想してみたいと思います。

1)M&A業界2019年の全体的流れ

2018年は活況を呈した日本のM&A業界。

しかし、世界的規模でみてみると、金額こそ4兆ドルと前年を上回りましたが件数自体は47000件台と5万件だった2017年を下回っています。これは米中経済摩擦の深刻化による世界景気の減退を意味し、少し遅れて2018年末には日本にも影響を及ぼしてきました。

【1】2019年は脱多角化本業加速型が進む

過去10年間、日本経済は好調でM&Aが盛んに実行され公表ベースでは23,512件が記録されています。この期間にM&Aを経験した会社が大幅に増え、さらに好景気であった事から大半の買収事例は成功して資金回収も済み各企業はは成功体験を積み上げました。

ところが、その後のM&Aはシナジー効果を拡大解釈した異業種買収に雪崩れ込んでいき、無意味で非効率な多角化経営の事例も増加してきました。上場企業の株価でも「コングロマリットディスカウント」として評価はマイナス化しているケースがあるのです。

しかし、米中貿易摩擦が深刻化する中、世界的にM&A件数が減少するという景気減速を背景に無意味な多角化経営に対する反動が起きています。

そんな中で、2019年の国内M&Aは本業加速型が主流になり、本業をいかに加速させるか?という目的のもとでM&Aが進むと予想されます。

【2】今年も深刻化する後継者問題

日本の中小企業では後継者問題が変わらず深刻ですが、最近では新しい動きも出てきました。

日本の中小企業では後継者不在を解消するM&Aが主流であり、それを反映するように現在の中堅・中小企業の経営者の年齢分布はそのピークがおよそ66歳です。そして、このピーク値は毎年1歳ずつ上昇していて事業継承が進まなければ9年後にはおよそ75歳にまで到達します。

中堅・中小企業における後継ぎ問題は、日本経済に深刻な影響を与え、後継者がいないから会社を売却したいという相談も増加しているのです。

最近では後継者がいても会社売却を選択する経営者も増加し、親族経営を続けるよりは上場企業や地域の有力な企業が保有した方が社会貢献になると判断する経営者が増えています。

これは、M&Aにより自社の安定性が増したり、公開された会社になる事で優秀な人材を確保できるなど自社の将来性を考えた判断でもあります。

中堅・中小企業の経営者の高齢化が進むのと反対に、上場企業の経営者は年々若くなっており、ITリテラシーやシステム投資の考え方にも大きな差が出て二極化が進んでいます。

2019年の日本のM&Aは、独立独歩の中小企業経営者は減少、大手企業、上場企業による業界再編が進んでいく事が予想されます。

※参考サイト:日本M&Aセンター

2)2019年建設業界のM&A動向

建設業

これまで建設業界では、新しい建物を建てる事を主体に発展してきました。発注者は、電気工事、空調工事、土木工事というように各種専門業者に発注するのが普通だったのです。

しかし、2019年の建設業界のM&Aは、それらを一本化したメガプラットフォーム企業が誕生する方向に進んでいくと推測されます。

【1】メガプラットフォーム企業がインフラの主体として台頭

これまでの建設業界では、新しい建物を建てる事が主体で電気工事はA社、空調工事はB社、土木工事はC社とそれそれ専門業者に受注するのが普通でした。

しかし、今後は新建設ではなく、リニューアル工事が増加していく流れであり、工費を節約する為に発注者がメガプラットフォーム企業に仕事を発注する流れが加速します。

メガプラットフォーム企業とは専門工事の請負のみではなく、電気ガス機械工事からデータまでをインフラ企業として請け負い総合的にサービスする企業の事です。

すでに大手通信工事会社などは、通信インフラという枠を超えた「社会インフラ企業」へと脱皮し、その他業種においてもグループ形成が進んでいます。

つまり今後は、施行主が家をリフォームする時に、メガプラットフォーム企業に依頼すれば、全てワンストップで済み便利になるわけです。施行主としても、何かトラブルや要望があっても、全て一つの企業に提案すればいいので双方にメリットがある体制と言えます。

また、建設業界は東京オリンピックや東日本大震災の復興事業で市場は活況ですが、3k企業として慢性的な人手不足に悩んでいます。

メガプラットフォーム化は、多くの関連業者を囲い込んで労働人口を確保し、労働待遇を改善して採用ブランディングを高める点でもメリットがあります。

【2】2019年の建設業界まとめ

2019年の建設業界についてのポイントを紹介します。

・大手企業によるメガプラットフォームの構築が進む

・売上5億から10億円の中堅電気工事会社の株価が上昇

・採用ブランディングにより人材不況の波を越える

3)2019年の外食業界M&Aの動向

イタリアンレストラン

外食業界のM&Aは、業界の多様化、都市部における店舗過剰、それに少子高齢化により依然として厳しい環境下にあります。しかし、大手外食チェーンは厳しい環境下でも、多店舗経営に加えM&Aを活発に繰り返して規模の拡大を狙い業界再編は継続しています。

一例を挙げると、ゼンショーと吉野家等の単一業態脱却とスケールメリットによる原価率の低減を狙った買収、ドトールコーヒーと日本レストランシステムの経営統合。ダスキンとモスフードサービスの他業態間での資本業務提携などがあります。

【1】外食産業「30店舗の崖」と企業提携

群雄割拠が続く外食業界のM&Aですが、価格競争力が強いファストフードや牛丼、低価格ファミレスなどは消費者の性向を取り込んで堅調に業績が推移しています。

また、外食産業は参入障壁が低く、中堅・中小企業間で事業譲渡中心のM&Aが活発化していて群雄割拠の状態が続きそうです。そして、中小外食産業においては「30店舗の崖」という試練をどう乗り越えるかが課題になっています。

【2】「30店舗の壁」とは

これは外食産業の場合には、30店舗くらいがワンマン経営体制の限界で、それ以上になると「本部機能」や「経営の組織化」が必要になるからです。

30店舗の崖を超えるには、本社に人事部や出店開発部を造ったり、株式上場を視野に入れると会計士・弁護士なども雇う必要があり、経費がかさみ収益力が低下します。

さらに出店ペースが加速する事で店舗投資費用コストもかさみ、営業利益が2〜3億円、あるいは1億円以下になりネットキャッシュがマイナスになる事もあります。

この時、収益低下を含む状態を短期間で乗り切らないとブームが去ったり、仕入れ値が高騰するなどで会社成長が頓挫しやすくなるリスクが高くなります。

そこで30店舗の崖を乗り越える為、すでに本部機能がある大手企業と提携する事で良いシナジー効果が得られる為M&Aに進むケースが増えているのです。

吉野家HDとラーメン店せたが屋の業務提携などは、この30店舗の崖を乗り越えたケースの好例でしょう。

【3】食のファッション化が新しいM&Aを生み出す

インスタグラム、sns文化の普及が食のファッション化というM&Aチャンスを産んでいます。最近では、インスタグラムやFacebookなどのSNSに食事の写真をアップするインスタ文化が普及し、食のファッション化が進んでいます。

インスタグラムを格好の宣伝媒体としたいアパレルメーカーなどが外食チェーンをM&Aで買収し食×ファッションのコラボ事例が増えるかも知れません。

例えば、アパレルメーカーの衣服を来て外食先でインスタグラムをupすると拡散数に応じ飲食費からキャッシュバックが受けられるなど新たな販売戦略が考えられます。

【4】2019年の外食業界のまとめ

2019年の外食業界のポイントはは以下のようになります。

・30店舗の崖をいかにクリアするか

・老舗の味を後世に残す

・食とファッションのコラボが進む

参考サイト:M&ACAPITALPARTNERS決心に真心でこたえる
参考サイト:日本M&Aセンター

4)2019年運送業界のM&Aの動向

物流

食品や機械などの業界では、自社で物流部門や物流専門の子会社を保有するケースが多くありました。しかし、自社製品の運送だけでは成長に結びつかず、むしろコスト高になりM&Aにより物流専門会社に子会社を売却する事が増えています。

【1】運送業界の現状とは

日本全体での物流運送会社数は6万社以上ありその内6割を運送業者が占めその9割が中小企業です。物流業界全体の市場規模は平成29年で25兆円です。運送業界は貨物運送事業者法に基づく規制緩和により業者も増加、それに加えてamazon等のインターネット通販の拡大に伴い需要も拡大しました。

しかし、サービスに対する消費者の要求レベルが上がる一方で、ドライバーの高齢化に伴い人手不足に陥る企業が増加しています。需要の増加への対応と、過当競争への対応という二つの問題に対処しないといけない運送業界は、かなり厳しい運営を迫られています。

【2】大手運送会社によるM&A

一方で昨今の運送業界の需要増加に伴い、大手運送会社によるM&Aも活発になっています。

例えば、業界大手の「日立物流」は資生堂やタカノフーズ、日立電線等が運営する物流サービス事業をM&Aにより子会社化しています。

元々、資生堂やタカノフーズ、日立電線は社内に運送事業部を持っていましたが、自社製品の運送だけでは運送部を維持するコストが賄えませんでした。そこで、物流の専門業者である「日立物流」に運送部門を売却して運送に対してはアウトソーシングしてコストを削減したわけです。

大手企業がM&Aの活用により、人手不足やサービスの質の向上に努めるのに対し、中小運送業者同士も相互の弱点を補う目的でM&Aを選択しています。

このような流れから2019年の運送業界では、M&Aによる業界再編が加速すると予想されます。

【3】運送業界は倉庫業界とのM&Aが促進

運送業界は倉庫業界との提携で配送網の効率化を進める傾向があります。また、運送業界の垂直統合の方面としては、倉庫業界と提携する事で自社の配送網の効率化を進めるM&Aが増加傾向です。

日本では、ある業種が全国で6万店舗を超えると飽和状態を迎え、統廃合が進む傾向があり、ガソリンスタンドは1993年に6万拠点が2013年には3,5万に減少。個人経営の電気屋も1980年には5,7万社だったものが2010年には3,1万店と、それぞれ20年から30年で半減しています。

運送業界も調剤薬局と同じく現在、6万店舗あり、今後M&Aによる統廃合が進む業界であると言えます。

【4】2019年の運送業界M&Aのポイント

・運賃値上げに成功する企業と苦戦する企業の二極化が進んでいる

・売り手市場の為、実質債務超過でもM&Aが成立するケースが多い

・大手企業による物流子会社切り離しが進んでいる

参考サイト:M&A総合研究所ポータル
参考サイト:日本M&Aセンター

5)2019年調剤薬局業界M&Aの動向

薬局

調剤薬局の2018年は報酬改定がなされ国からの「立地から機能へ」という強いメッセージが出されました。従来、街中にあるかかりつけ薬局も、病院前にある門前薬局も調剤報酬に差がありませんでしたが、近年の医療費高騰を受けて政府はかかりつけ薬局の地域性に配慮。

かかりつけ医には、調剤基本料という点数をプラスして優遇すると共に病院前という利便性がある門前薬局については点数を下げました。それを受けて、門前薬局の中には国が求める薬局業界改革についていけずM&Aを考える薬局が増加しているのです。

【1】大手企業は大型案件M&Aを重視、小規模薬局は売れない?

調剤薬局業界は、大手薬剤会社、アインファーマシーズやメディカルシステムネットワーク、日本調剤等、上場企業はM&Aによりシェアを拡大しています。2018年の4月に公表された日本調剤の「2030年に向けた長期ビジョン」によると日本調剤のみでシェア10%、売上は1兆円を目指す展望です。

調剤薬局業界のM&Aは、シナジー効果狙いの多角化買収ではなく薬局の買収による本業加速型での成長が顕著です。

【2】門前薬局などの個人店舗は売り手市場?そういうわけではない?

それならば、門前薬局のような個人店舗には売り手市場なのかと言うとそうではなく2018年の報酬改定発表により変化が生じています。他の業種とは違い、薬局の薬は単価が国に定められているので、高い薬を製造して販売利益を増やす戦略を取る事が出来ません。

なので売上増加には顧客増加しか方法はないのですが、単独店舗を買収すると1店舗単体での収益改善が容易でなく報酬改定後に収益が低下した時のリカバリーも難しくなります。

それに比較して複数店舗を買収すれば技術料が多少落ち込んでも、ドミナント戦略が取れコスト削減や薬剤師の調整なども容易に出来ます。

このような事から大手企業は、負債を抱えるリスクが高い単独店舗の買収を敬遠しているのです。

だからと言って単独店舗が中堅薬局とM&Aしようにも、金銭や待遇面での折り合いがつかず、2019年は単独薬局にとって試練の年になるかも知れません。

【3】M&Aは活発ながら悪質なファンドや仲介業者も暗躍

調剤業界はM&Aが活況ですが、そこに目をつけて悪質なファンドや買い手企業、M&A仲介業者などが悪質なブローカーとして暗躍するケースも増加しています。M&A件数が非常に多い調剤薬局業界は、過去に10社以上の買収経験がある買い手企業が数多く存在しM&Aの審査レベルが非常に高くなっています。

同時に、業界再編が続く調剤薬局業界では、ファンドや買い手企業、M&Aの仲介業者が悪質ブローカーとして活動するケースも増加しています。実害もいくつか報告されており、日本M&Aセンター業界再編部では、トラブルを未然に防ぐために調剤薬局経営研究誌Pharmawayを刊行して注意喚起しています。

【4】2019年の調剤薬局業界M&Aのポイント

・調剤薬局大手10社のシェアが2009年の9%から18%に集中

・IT化が調剤薬局経営の要

・買収監査後に売買価格を下げる悪質ブローカー増加

参考サイト:薬サポ
参考サイト:日本調剤お客さま向け情報
参考サイト:日本M&Aセンター

6)2019年IT業界のM&A動向

オフィス

IT専門調査会社IDC Japan株式会社の発表では2018年度の国内IT業界の市場規模は前年比4,3%増加で17兆5158億円と予測されました。市場拡大を続けるIT業界M&Aの2019年の動向について解説します。

【1】第四次産業革命の活況で2019年も市場拡大が続く

こうした市場規模の拡大を背景に、現在IT業界はM&Aにおいても非常に活発な業界の一つになっています。IDC Japan社の発表では2019年のIT業界はグローバル経済状況やAIやIoTといったいわゆる「第四次産業革命」による経済刺激の継続により成長が続くと見られます。

それらのテコ入れにより日本経済は2018年から2022年にかけ毎年1,1%ずつのGDP成長率の増加が見込まれさらに市場規模が伸びると予測されています。

【2】事業承継問題が少ない若い業界

IT業界は成立してから日が浅い業界であり事業承継者の不在を原因にするM&Aは少ないようです。IT業界では、売上10億円〜30億円程度でのソフトハウスの譲渡が目立ち、WEB系と基幹系システム開発の強みを活かして人材採用や活用の為のM&Aが進んでいます。

例えば、パラダイムシフトが進む自動車業界ではIT企業の東芝情報システムとデンソーが、組み込み開発業界のメリットを活かす開発力強化を図る「選択と集中」が進んでいます。また、IT業界では、30代から50代の比較的に若い経営者が会社を譲渡するケースが多く、後継者不在型のM&Aではなく若手ベンチャー企業のイグジット(株式現金化)も目立ちます。

さらに、売却後もそのまま雇われ社長として会社に残留し手腕を振るうベンチャー経営者が多いようです。

【3】2019年のIT業界M&Aのポイント

・売上規模10億円以上のソフトウェアハウスの譲渡が増加

・組み込み開発業界では製造業・電気通信など異業種との提携が加速する

・アップセル/クロスセルの実現の為自社サービスを持つ企業同士の提携が急激に増える

参考サイト:日本M&Aセンター

7)2019年製造業界M&Aの動向

製造業

製造業界のM&Aは生産ラインのIT化、ネットワーク化が大きなテーマになっています。部分最適から全体最適を実現するための企画や設計力が注目され、特にオーダーメイドの専門機械を設計している企業にM&Aで高値がつく傾向です。

【1】生産ラインのスマートファクトリー化を目指し専門機械メーカーのM&Aが活発

日本の製造業はIT、IoTを活用したスマートファクトリーの実現により、工場を完全自動化して効率を高め人材不足の解消をはかっています。同時に従来のモノを生産して売るビジネスモデルを改め、モノに情報サービスの付加価値をプラスして販売する新しい情報ビジネスサービスへの転換が進んでいます。

それを受けて、製造業界では「本業加速型M&A」が主流を占める傾向があります。

【2】アマダホールディングスの事例

一例では、売上3000億円の板金加工機械世界大手のアマダホールディングスがプレス機向け自動化装置のオリイメックを株価125億円で買収しました。これによりアマダHDはプレス機メーカーから自動車ソリューションメーカーへとビジネスモデルの変換を図る構えです。

また、旭化成や積水化成などの素材メーカーは国内外の自動車部品メーカーの買収を強化しています。狙いはトヨタ・ホンダ等の自動車メーカーに近いポジションを取る事で企画・開発力を強化する為で垂直統合によるビジネスモデルの深化を図る事です。

製造業の中小企業M&Aでは業界再編を見越し、会社を大手企業に売却、後継者を子会社社長として雇用してもらう「第2の創業」が増加しています。

【3】デジタル人材のヘッドハンティングも顕著に

デジタルサービスビジネスに踏み込めなかった日本の製造業では、デジタル人材のヘッドハンティングも顕著です。

製造業は元々自己完結している産業であり、他業種との業務提携などの経験もほとんどないのが一般的でした。また、モノを造り販売するというビジネスモデルに特化した業界である為に、情報を販売するという新しいビジネスモデルは不得手でもあります。

そこで、2018年より、製造業が外部のデジタル人材を積極登用してノウハウを吸収するケースが増加しています。

【4】ヘッドハンティングの例

一例をあげると、日本マイクロソフト会長からパナソニックコネクティッドソリューションズ社の社長になった『樋口泰行』氏。日本IBMから東芝に入社してデジタイゼーションCTOになった『山本宏』氏、インテルからヤマハ発動機フェローになった『平野浩介』氏がいます。

このような外部人材の獲得により、これまで製造業が苦手としてきた異業種との事業提携も増えてくると予想されます。

【5】2019年の製造業界M&Aのポイント

・優秀な技術者を抱える産業機械メーカーがM&Aの中心

・業界内での垂直統合を通じて顧客ニーズに対応

・経営者が第2の創業のためのM&Aを選択

参考サイト:MONOist
参考サイト:日本M&Aセンター

8)2019年スーパーマーケット業界M&Aの動向

スーパーマーケット

スーパーマーケット業界のM&Aは大企業による地方への拡大を目的とした既存店舗の買収が主流です。地方スーパーを丸ごと買収する事で安くスケールメリットを享受でき、地方スーパーの既存の顧客や従業員ノウハウがまとめて得られるからです。

一方、スーパーマーケット業界全体では消費者の節約志向やニーズの多様化、慢性的人材不足や人件費高騰、少子高齢化による国内市場の規模縮小に悩まされています。

【1】大手企業は経営合理化と店舗拡充、中小企業の売上は伸び悩む

スーパーマーケット業界は、アベノミクスの影響による消費の増加や消費税増税前の駆け込み需要、食品価格の上昇などにより2013年以降市場規模は拡大を続けています。2017年度のスーパーマーケット白書では、2017年の業界規模を29,7兆円と試算、前年比1,4%の微増となっています。

しかし、そのような業界の好調も将来的な人口減少による市場規模の縮小の前には、安閑とはしていられない状態というのが正直な所です。加えて、スーパーマーケット業界では慢性的人材不足による人件費の高騰、個人消費の落ち込みによる消費者の節約志向やニーズの多様化も市場拡大の壁になっています。

売上の減少に対し、大企業は自社製造のPBブランドによる商品の低価格化、店舗規模の拡大による商品の充実で売上の回復をはかる戦略を立てました。

【2】人材不足に悩むスーパーマーケット業界

また、人材不足については、店舗へのセルフレジの導入、さらにネットスーパーの運営により人件費削減と人手不足の解消に取り組んでいます。しかし中小スーパーマーケットでは、店舗拡充や商品開発は厳しく、セルフレジなどの設備投資も資金不足で難しく売上低迷が続いています。

そのような中、スーパーマーケット業界の大手企業は、地方への店舗拡大やスケールメリットの享受を主な目的に中小スーパーマーケットを買収してシェアを拡大。地方スーパーの既存の顧客や従業員、ノウハウを丸ごと得る事で新たに出店するよりも迅速に店舗を拡大しています。

一方の中小スーパーマーケットは、大手の傘下で経営基盤を強化、大手スーパーの販路や流通経路を活用する事で生き残りを図っている状況です。

【3】コンビニエンスストア業界やドラッグストア業界もスーパーマーケット業界に参入

スーパーマーケット業界には、コンビニエンスストア業界やスーパーマーケット業界が異業種参入しています。近年では、スーパーマーケット業界へのコンビニエンスストア業界やドラッグストア業界などによるM&Aを活用した異業種参入が続いています。

例えば、ドンキホーテホールディングス(現株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)によるユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社の買収。

それに、アメリカのECサイト運営会社最大手のAmazon.comによるアメリカ食品スーパー大手のWhole Foods Market社の買収があります。

また、地域内のブランド力の向上やシェアの拡大の為に、同じ地域内の中小スーパー同士の業務提携M&Aが進められています。

【4】2019年のスーパーマーケット業界M&Aのポイント

・大手企業はPBブランドの確立、店舗の拡大によるニーズ対応、セルフレジによる人件費削減を引き続き進める

・中小企業は店舗拡大やセルフレジなどの設備投資の予算が無く、大手のM&Aに応じる事で生き残りを図っている

・ドン・キホーテ等の異業種参入、中小企業同士の業務提携も盛んになっている

参考サイト:FUNDBOOK

9)M&A業界の動向に関するQ&A

Q&A

ここまでは、2019年度の各業界のM&Aの動向について紹介しました。ここからは上記で触れなかったM&A業界の疑問、質問について解答致します。

【Q1】M&Aをすると連帯保証や担保はどうなるのでしょうか?

M&Aをしたからと言って、自動的に連帯保証や担保先が買い手に変更される事はなく解除の手続きが必要です。連帯保証と担保差し入れ解除はM&A成約時の早い段階で金融機関と交渉し買い手企業に肩代わりをしてもらう事になります。

この辺りの流れを確立する為にM&Aの契約にも買い手による売り手の連帯保証、担保の差し入れ解除に協力するといった旨の条項を入れる事もよくあります。

【Q2】M&Aに踏み切る会社はやはり赤字や債務超過のケースが多いのでしょうか?

M&Aは、経営が苦しくなった会社の「駆け込み寺」のようなイメージで語られますが実態は随分違います。実際にM&Aを望む会社は利益が出ていない事は少なく、債務超過どころか財務的には黒字である事が多いものです。

つまり、M&Aを実行した企業は将来的問題を見据えてM&Aに活路を見出そうとしている企業が大多数を占めていると言えます。

【Q3】最近の中小企業のM&Aにはどのような傾向が見られますか?

従来は、少子高齢化とデフレ不況による市場の縮小から中小企業では後継者の不足に悩み事業承継の為にM&Aを選ぶケースが多くありました。しかし、最近では事業承継以外にも成長戦略や、業界再編という理由で会社の売却を考えている経営者が増加しています。

中小企業の場合、成長要素はあっても資金不足や販路を持たないデメリットを抱えるケースが多く、あえて大企業の傘下に入る事でデメリット克服を考えているようです。

そのような中小企業経営者は、オーナー年齢も30代から50代と若く、自社単独でも成長している会社も多いので必然的にM&Aも高額になる傾向があります。

10)この記事のまとめ

以上M&A業界の2019年の動向について解説してきました。これらのポイントをまとめると以下のようになるかと思います。

  • 国内M&Aは好景気の元で異業種買収による多角化経営が続いていたが、機能的ではなくコングロマリットとして敬遠されるようになった。
  • これからのM&Aトレンドは経営多角化ではなく、自社機能を強化する本業加速型、業界内で企画・開発力を補う垂直統合型が主流になる。
  • 従来、M&Aの大部分を占めていた事業承継問題は数を減らし、成長戦略、生き残りを掛けて大資本の子会社化を望む能動的なM&A案件が増える。
  • 建設業界は、建築、水道、電気、空調、土木などの企業をM&Aで一本化したメガプラットフォーム化が進んでいる。
  • 製造業界は、IT、IoTのようなデジタル技術で生産ラインを自動化し人手不足を解消、モノの販売からモノを使って得た情報を販売する方向にシフトしている。
  • これまで独立していた各業界がIT、IoTの進歩により障壁がなくなり従来は考えられなかった異業種同士のM&Aが増加していく。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です