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M&Aのデメリット!失敗しないための対策とは

落ち込むビジネスマン

事業拡大、事業承継、経営多角化、合併後のシナジー効果などM&Aには多くのメリットがあります。しかし、同時に実際のM&Aの成功率は僅か30%と言われるなど、M&Aのデメリットも確実に存在します。100/30という狭き門で成功を掴むにはどうすればいいのでしょう?

1)M&A買い手のデメリットとは?

うなだれる ビジネスマン

ここでは、M&Aの買い手のデメリットについて解説します。デメリットを詳細に見ていく事でどうすれば成功するかを考える事になります。

【1】会社の融合が上手くいかない

会社は組織ではありますが、実際には人間の集合体で出来ています。そして、会社の風土というのは過去何十年の蓄積の中で出来上がっていくものです。

しかし、M&Aによって売り手の企業を合併すると社風の違う両社がいきなり一緒になる事で企業理念や仕事の進め方、意思疎通のツール等に齟齬を来す事も少なくありません。これを以前のような通常運転に戻すのに数年、あるいはそれ以上かかるでしょう。

【2】簿外債務が発見され負債が増えた

会社を買収した後、被買収会社に隠れた債務が発見される場合があります。隠れ債務には、賞与引当金、退職給付引当金、買掛金や残業代未払いの計上漏れ、他社の連帯保証人、または訴訟リスクを抱えているケースもあります。

これらは意図的だったり、無意識だったりしますが会社を丸ごと買収してしまうと、これらの隠れ債務の支払い義務はすべて買い手の責任になります。簿外債務を回避するには、買収前のデューデリジェンスで買収先の財務・法務・会計を完全に調べる必要があります。

【3】のれん価値が下落する

のれんはブランド力とも言え、具体的には被買収会社が将来にわたり利益を稼ぐ能力(超過収益力)を金銭評価したものです。貸借対照表上では、無形固定資産として計上されます。ただ、のれんの価値は正確に算定する事が難しく、おまけに無形なので転売する事も出来ません。

例えば、のれんを10億円と査定しても、実際の超過収益力が5億円にしかならない場合には、5億円の損失処理をします。実はM&A失敗とされる理由のほとんどは、この『のれん価値の下落』による減損なのです。

逆に言えば、のれんを適正に評価できればM&Aのデメリットを大きく防ぐ事ができます。

(例)のれん減損処理をした大企業のケース

のれん価値を見誤った結果、減損を計上したケースを紹介します。

【東芝】2017年3月期:

アメリカ原発ウエスチングハウス社関連で7200億円の減損を計上

【パナソニック】2012年3月期:

三洋電気関連で2500億円を減損処理

【富士通】2007年3月期:

イギリスIC関連で2900億円の評価損を計上

【日本郵政】2017年3月:

オーストラリアの物流子会社トールホールディングス社関連で4000億円の減損を計上

以上のように、のれんの評価は難しく大企業M&Aでもデメリットになり得る主な理由です。

【4】優秀な人材が大量辞職

終身雇用が崩壊した現在、一つの企業に一生勤めるサラリーマンは少なくなっています。しかし、特に技術系企業の場合には、技術継承とノウハウ蓄積の必要性から新卒から長年勤める従業員も珍しくありません。

このような良くも悪くも家族的な連帯で動いている企業ではM&Aによる自社の売却は大きな衝撃です。それに加えて、会社統合が上手くいかなかったり、社内でイザコザが起きてしまうとモチベーションを失い大量辞職という最悪の事態が起きる恐れもあります。

また人材の取得がM&Aの目的だった場合、人材流出は本末転倒になりますからPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)を活用しM&A後の会社統合を円滑に進める必要があります。

【5】シナジー効果が生まれなかった

シナジー効果とは、日本語でいう『相乗効果』を意味しています。二社ないし複数の会社が合併や業務提携する事により、売上の拡大、事業の拡大、コスト削減などの効果が生まれ、1+1が2以上になる事です。

しかし実際はシナジー効果どころか、合併や業務提携により、返ってコストが増大し、売上は横ばいなどマイナスが生じる事もあります。これらのシナジー効果不調の理由として、命令系統の混乱や業務の重複などがあります。

元々は、一社で自己完結していた業務が二社、ないし複数の会社が入った事で余計な部門が増えてしまいスムーズな業務を阻害したのです。

例えるならば、一台の自動車にエンジンが2つ、車輪が8つあるようなもので、これでは性能が倍になるどころか自動車一台の働きさえ怪しくなります。

シナジー効果を引き出すには、まず不用な部門を減らし、重複する作業を無くして合併した会社が一個の有機体として動けるようにする必要があります。

2)M&A売り手のデメリットとは?

落ち込む男性

M&Aの売り手のデメリットは、買い手よりは少ないと言えます。それは買い手にとっては、むしろM&Aの成立後こそが大変であるのに対し売り手は売却するまでが大きな仕事になるからです。

しかし、それでも、そもそも買い手がつかなければM&A自体が出来ませんし、売却後の会社が買い手により不本意に変えられるなど売り手にもデメリットは存在しています。

【1】取引先の反発や契約の打ち切り

M&Aにおいて売り手と買い手は対等な関係で契約を結びます。しかし、会社が売却された途端に会社の経営権は売り手から買い手に移る事になります。

契約や譲渡する株式の数によっては、旧オーナーが経営に一定程度関与する事が認められる時もありますが、以前のように全てを自分だけで決済する事は出来ません。

また、買い手企業は、往々にして企業の利益を最大化する為に買収するわけですから、自分流の経営を押し付けてくる可能性もあります。結果、これまで円満に進んでいた取引先や契約会社との関係に摩擦が起きて取引先の反発や契約の打ち切りが発生します。

この事態を防ぐには、売り手のオーナーがM&Aを仲介業者任せにせず、交渉に立ち会い買い手企業の性格や経営方針を見極める必要があります。

【2】雇用や労働条件が変更され労使関係が悪化する

M&Aの結果、雇用や労働条件が変更されて待遇が悪くなり労使関係が悪化するというケースもよくあります。特に株式譲渡による企業合併の場合には経営が引き継ぎされるので、雇用契約の結び直しが不用で従業員が知らない間に雇用や労働条件が変更されトラブルに発展する可能性もあります。

この場合、納得のゆく交渉が行われないと従業員のモチベーションの悪化から大量辞職に繋がるケースも多く、また旧オーナーが引き続き会社の経営に関わったりした場合には、オーナーは従業員と買い手企業の板挟みになります。

労働条件を永久に変えないという契約は無理ですが、数年、従業員が落ち着くまで急激に雇用や労働条件を変えないという一文を付け加える努力をしましょう。

【3】M&Aが想定価格を大幅に下回る

そもそも会社を売却しようとしても売れない、需要が無いというデメリットもあります。これこそ、売り手にとってのM&A失敗の最大のデメリットだと言えます。

仮に会社に負債もなく、経営も好調であったとしても買い手は将来的な価値を見るので将来的な価値が弱いと買収に二の足を踏みます。だからと言って、投げ売りに近い形で会社を売却して手元にほとんど売却益が残らないのでは本末転倒です。

売り手として出来る事は、買収した後に買い手の負担になる借入金の返済を強化したり、老朽化設備を取り替え、会社が将来に向けて安定的に利益が出る組織であるとPRする事です。

【4】会社の融合が上手くいかない

これは買い手にとってのデメリットでもありましたがM&A後の企業風土のすり合わせが上手くいかないケースです。売り手オーナーがM&A成立と同時に退任するなら、合併後のゴタゴタにはノータッチも有り得ますが、会社が落ち着くまで暫定社長として居続けるなら大きな問題です。

特に何十年も勤めている従業員が多い家族的会社だと、他社の社風を知らない従業員も多く混乱もしばらく続く事になります。会社融合には絶対有効な対策もないので、粘り強く仕事の進め方や経営方針などを周知し双方に歩み寄ってもらうしかありません。

※参考サイト:事業承継M&A山田コンサルティンググループ

3)M&A、売り手のデメリット対策

リスク

ここまで売り手と買い手のデメリットを見てきましたが、M&A失敗の要因は複雑に見えて根本はシンプルです。そこで、ここでは売り手と買い手のM&Aデメリットの対策について考えてみます。最初は、売り手のデメリットの対策について解説しましょう。

【1】売り手の失敗は買い手を間違えた事と想定より安く売却した事

売り手にとってのM&失敗は、もちろん複数の原因が重なっていますが突き詰めるとそれは、

・買い手を間違えた
・安く売却しすぎた

の2つに集約されます。

会社融合の問題や雇用や労働条件の問題や取引先とのトラブルも、理想の買い手さえ見つかれば起きないか、起きても小さい問題で済みます。また、売却価格が安すぎると創業者利益も小さくなり、何のためにM&Aに踏み切ったか分からなくなります。

逆に言えば、売り手にとってのM&Aデメリットは、この2つさえクリアしていれば概ね成功裏に終わるわけです。

【2】原因1:どうして想定より安く会社を売却するのか?

売り手がM&Aを考える大きな目的には、創業者利益を得るという目的もあります。長い年月をかけて、血のにじむ思いをして大きくしてきた会社ですから、最初はそれなりの価格での売却を考えていた筈です。それがどうして、「こんな筈ではなかった」と後悔するような価格で投げ売りしてしまうのでしょう。

以下では、会社を自ら安く買いたたいてしまう原因について解説します。

(1)FAや仲介業者選択の失敗と過信

どうして売り手は自社を安く買いたたいてしまうのか?その原因を挙げます。

M&Aにおいては、手順の全てを経営者の手で行うというのは難しくM&Aに精通しているFAや仲介業者にサポートを依頼します。しかし、FAや仲介業者は玉石混交が現状であり経験が乏しい業者を選ぶと相場も理解せず「売ればいい」と不当に安い価格で大事な会社を売却されます。

また、経験さえ豊富であればいいかというと、それも落とし穴です。100%売り手に立つFAは兎も角、仲介業者は買い手からも収益を得ています。

M&A仲介業者はM&Aを成立させる事で食べていますから、不当に安い価格を適正といいくるめて、あなたにサインさせるかも知れません。つまりは、M&Aについて何も知識がなく業者にまかせっきりだと心血を注いだ会社を投げ売りする羽目になるのです。

(2)売却価格を曖昧にしている

売り手が自社を安く売却してしまう理由には、自社の最低売却価格を曖昧にし決定していない事があります。M&Aでは買い手を探すまでのマッチングに時間がかかりますし、売買契約をしてから交渉を進めるのも数か月単位でかかります。

一度、M&Aが現実味を持つとこれを御破算にして一からやり直すのは非常に面倒な事になり、買い手の要求に引きづられ売却価格をズルズルとディスカウントする結果にもなりかねません。

そうなっては、得をするのは仲介業者と買い手だけで、売り手は骨折り損のくたびれ儲けになるだけです。仲介業者や買い手に引きずられないように、絶対に譲れない最低価格を決めて仲介業者やFAにも伝えておくべきです。

(3)M&Aについて勉強不足

自社を安く売却してしまう一番の原因は、売り手の経営者がM&Aに無知である事です。M&Aは経営者だけで行うのは難しいですが、だからと言って何も勉強せずにFAや仲介業者に丸投げして自分は何も知らないのは大問題です。

江戸時代の岡っ引きは、元犯罪者やゴロツキが多かったそうですが、それは「毒を以て毒を制す」という考えからです。現在も、元空き巣だった人を招いて防犯について講演させると話も分かりやすく防犯の落とし穴を教えてくれたりします。

同じようにM&Aについて詳しく知っていれば、業者のいい加減なマッチングや出鱈目な交渉などにも気がついても指摘する事が出来ます。それだけでも仲介業者は、いい加減な事が出来なくなり真面目に仕事をして良い買い手に巡り合う確率が高くなります。

【3】原因2:どうして買い手選びに失敗するのか?

M&Aの売り手デメリットのもうひとつの失敗要因は、そもそも買い手を間違えたという事です。例えば、M&Aの目的が「従業員雇用や取引先との関係維持」なら転売目的のファンド系の買い手は選ばない方が賢明です。

また、買い手がM&Aの初心者で会社を買収した後に、何をすればいいか、よく分っていない時も悲惨な結果になります。

そして、大企業にありがちですが、なんとなく惰性でM&Aをしている相手を選んでしまう事もあります。これはTOPが鶴の一声でM&Aを指示し、担当者が何となく合併できそうな企業を探しているようなケースです。相手はTOP命令でどうしてもM&Aを成約させたいので、売却価格は満足いくかも知れませんが意欲のない買い手に売られた自社の将来は暗いでしょう。

(1)買い手選びに明確な軸が無い

では、買い手選びを失敗する原因にはどんな事があるのでしょう?

売り手がM&Aの買い手について明確なイメージを持っていないと失敗の可能性は高くなります。売り手オーナーが会社を売却して一切の事業から手を引くなら、金額面だけで選ぶ方法も選択肢の一つですが、今後も子会社として経営に携わりたいなら、会社を売却するに相応しい相手、逆に絶対に売りたくない相手を明らかにする必要があります。

また、曖昧なビジョンでは妥協を囁く仲介業者の口車に引きずられてしまい、不本意な売却をするリスクが発生します。

(2)買い手候補が少なく選択肢がない

M&Aの経験に乏しいFAや仲介業者を選んでしまうと、入札に応じる買い手が少なく、そもそも選択肢の自由がとぼしくなります。これでは、妥協に妥協を強いられ気がつけば理想とは程遠い散々な会社売却になりかねません。

ここでは、FAや仲介業者をしっかり選んで、より多くの買い手を集めて選択の自由を確保する事です。

(3)TOP面談が形式的に終わる

TOP面談はM&Aの買い手候補を一社に絞り込む前に、買い手候補の意志決定責任者と売り手が面談する事です。買い手の責任者と一対一で話し合う唯一の機会ですが、面談をセレモニーのように終わらせる売り手オーナーも多くいます。

本来は、この面談こそが買い手の本音を探る重要な機会ですから、突っ込んだ会話をして相手の本気度を探りましょう。

【4】M&A売り手デメリット対策まとめ

  • 最初にM&Aについて徹底して調べる。
  • M&Aの成功と失敗を明確に定義する。
  • 買い手についてしっかりと調べる。
  • M&Aアドバイザー選びは妥協しない。

参考ブログ:株式会社STRコンサルティング古旗淳一会計事務所

4)M&A買い手デメリット対策

デスクワークをする男性

買い手にとってのM&Aは売り手以上に大変な事です。

それは売り手は売却してしまえばほとんどの作業が終わりであるのに対し、買い手は買収した企業を再編しM&Aに費やした費用に見合う利益が出せる組織に変える必要があるからです。

そこで、ここでは大金を使ったM&Aを失敗させないための買い手のデメリット対策を解説します。

【1】買い手の失敗はプライシング&PMIの失敗

買い手にとってのM&Aの失敗、これも大きく2つの原因に分ける事が出来ます。

一つはプライシング、つまり実際よりも高値で企業を買収した事による失敗で、のれんの過剰評価などが代表です。そして、もう一つはPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の不徹底で買収後の混乱を収集できなかった事による事業の停滞です。

ここからは、どうすればプライシング&PMIの失敗を防げるかを見ていきます。

【2】問題1:どうして高すぎる買収をしてしまうのか?

プライシングは、M&Aのもっとも大事な要素です。買い手は慈善事業をしているわけではありませんから企業買収は、その後利益を出せる前提で行います。ところが現実は、高値つかみして費用が収益を上回る失敗をきたしている買い手企業も多いのです。

では、こんなミスを防ぐにはどうすればいいのかを解説します。

(1)プライシングの最高価格を決めていない

売り手企業を買収する際には、その企業価値を検討し評価して適正価格を決める事が重要です。これを曖昧にすると、下りるタイミングを失ったオークションのように価格ばかりせり上げ買収した時に自己満足しか残らなくなります。

このような失敗を防ぐには、M&A仲介業者やFAに正確な企業価値を算出させ、上限を越えた買収はしないように決める事です。

(2)M&Aが自己目的化している

こちらは、大企業でM&A専門部門があるような場合に起こりがちな事です。つまりM&Aを多くこなす事がノルマになり、とにかくM&Aで企業を買収する事が自己目的化してしまうのです。

担当者がこのような認識だと、仲介業者は元々、M&Aの成約で報酬をもらうのですからせっせと案件をまとめる事に力を注ぎ、価格交渉も売り手の言い分を丸呑みにして、通常より高額で企業買収をしてしまう羽目に陥ります。

(3)損益見込みが甘い

M&A買い取り価格は買い手の主観的な見積もりで決定されます。ここでは、「今後シナジー効果を含めてどの程度の利益を何年で達成するか」がキーポイントです。当然、達成不可能な損益見込みを作成すると、首尾よくM&A出来ても利益が獲得できず減損を計上します。

M&A成約までの苦労を無駄にしないためにも損益見込みはシビアにすべきです。

(4)デューデリジェンス不足

デューデリジェンスとは、投資をするに当たり、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクを調査する方法です。本来のデューデリジェンスは3つの部門に分かれていて以下のような種類があります。

1:組織や財務活動調査をするビジネス・デューデリジェンス

2:財務内容などからリスクを調査するファイナンシャル・デューデリジェンス

3:定款や登記事項など法的部分を調査するリーガル・デューデリジェンス

日本ではデューデリジェンスを単に「法令順守」「会計処理チェック」と混同して見做している場合が多くあります。そのような甘い見通しからは、正確な企業価値は分からず思いがけぬ隠れ負債や訴訟リスクを見落としM&Aを失敗させます。

デューデリジェンスをハッキリ定義し必要な費用を惜しまず、しっかりしたチェックをするべきです。

また、公認会計士に企業価値評価(バリエーション)を出してもらい、結果をそのまま評価の指標にする企業もありますが、企業価値評価とは、「理論上適正な価格」を算定するだけであり買収価格を提示するものではありません。

「適正な価格で買えばそれで儲かる」と思っているのであれば、M&Aを認識し直した方がいいでしょう。

【3】問題2:どうしてPMIが失敗するのか?

PMIとは、Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略で企業を買収した後に被買収会社を円滑にグループ企業に合流する「企業統合プロセス」です。いわば、M&Aの最期の仕上げであり、ここで失敗するとここまでの全てが無駄になります。

しかし、実際にはPMIの失敗による従業員の大量退職や、取引先との関係悪化、また受け入れる側の準備不足で混乱が続くというケースも多いのです。

では、PMIを円滑に進めるには、どうすればいいのでしょうか?

(1)PMIの準備が遅すぎる

ここではPMIの失敗に繋がる原因とその対処法を紹介します。

M&Aにとって最大のピンチは、M&Aの事実を買収する企業の従業員に公表した瞬間に発生します。自分が勤める会社が売却されるというのは、従業員にとって青天の霹靂とも呼べる大きな衝撃です。ここまでに、買い手企業はPMI担当員を派遣して、買収する企業の従業員の動揺を鎮める手を打たないといけません。

つまり、M&Aが公表されてからPMIを開始したのでは遅すぎるのです。

日本的武士の情けでM&Aが公表されるまで、買収先の会社に姿を現わさない買い手企業もありますが逆効果になります。実際には、M&Aのクロージング前の数日間が混乱を最小限に抑えるチャンスであり初動が遅れるとPMIのハードルは格段に上ります。

(2)デューデリジェンスが足りない

PMIの遅れを防止し、初動を迅速にするにはどうすればいいでしょうか?

それは、M&A公表前=M&A最終締結前から買収先の企業の実態を熟知しPMIにおける重点ポイントを決める事です。つまり、迅速なPMIの為には、正確なデューデリジェンスが必要不可欠なのです。

デューデリジェンスはPMIと連続した作業と考え、買収先企業の組織や人員、取引先関係、訴訟の有無を調査し相手企業の問題点や早急に打つべき手は何かを把握します。

(3)PMIチームの人員が不足している

PMIが開始されると各部署から担当者を選出してPMIプロジェクトチームを発足させます。さらに、その中の数名は買収先の企業に出向して円滑な企業統合の為の作業を開始する事になります。

PMIの成功の可否は、PMIチームの能力如何に関わりますが、通常業務をしながら並行してPMIをするので、どうしてもベストな人材を常時送り続ける事が難しい場合もあります。

しかし、余りに手を抜いてしまうと、PMI成功の可能性が格段に下がる事になりますのでPMI人員の配置には十分気を配る事が成功への近道です。

(4)現場の巻き込みが不足している

PMIはチームが中心となって進めていきますが、チームが孤立しないようにPMIに参加していない人も含めた会社ぐるみの協力が必要です。

この時、受け入れ側社員の巻き込みが十分でないとPMIチームが頑張っているだけで受け入れ会社の対応が冷たいものになり、PMI要員は一方では会社融合の為に働き、一方では本社で欠員扱いされ白い眼で見られるという板挟み状態になります。

この状態が続くとPMI要員が孤立感から燃え尽き症候群になり、買収先の従業員ばかりでなくPMI要員まで退職する事になりかねません。M&Aは売り手企業と買い手企業、双方の仕事と捉えて全社を挙げて協力を惜しまないサポート体制が必要です。

【4】M&A買い手デメリット対策まとめ

  • M&Aの戦略とプライシングの上限を決定しておく
  • デューデリジェンスに費用を惜しまない
  • PMIは時間との勝負M&A公表前の初動が大事
  • 会社ぐるみで充実したPMIチームを組織する

参考ブログ:株式会社STRコンサルティング古旗淳一会計事務所

5)M&Aデメリットに関するQ&A

Q&A

【Q1】株式上場会社がM&Aできるのは株券の売買が行われるからですが、非上場会社はどうやってM&Aするのですか?

M&Aというと株式譲渡と事業譲渡と書かれるために、M&A=株式譲渡と考えがちですがM&Aは株式譲渡ばかりではありません。実際には非上場株式会社でも、そもそも株式を発行していない会社でも条件さえ合致すればM&Aが出来ます。

ただし、株式情報が公開されている上場企業と違い非上場企業は会社情報もほとんど分からないので買い手としては難しい相手です。

また、非上場企業というと中小企業をイメージしがちですが、実際には、朝日、読売、日経、毎日、産経の五大新聞社や、株式会社DMN.COM、サントリーホールディングスや帝国データバンクも株式を上場していません。

非上場の理由としては株式を売り出す事で特定の株主の発言力が増し、会社の自由が制限される事があるようです。

参考:Yahoo!知恵袋
参考:HRNOTE人の成長から企業の成長を。

【Q2】M&Aの最大のデメリットを教えてください!

意外かも知れませんが、M&Aの最大のデメリットとは契約が成立した瞬間から売り手オーナーが経営者ではなくなる事です。実際にM&Aを実行した元経営者の多くが持つ感想であるようで、手塩にかけた自分の会社がある時から他人の者になり経営に直接関与できなくなる。

これは以前から覚悟はしていたものの実際に、その立場になると喪失感はかなりのモノになるそうです。会社を手放してから後悔しないように、経営者の最期の仕事としてM&Aは納得がゆくところまで妥協せずに貫徹しましょう。

参考:株式会社STRコンサルティング古旗淳一会計事務所

【Q3】経営者としてM&Aを従業員にはどのタイミングで話すべきでしょうか?

つらい決断ですが、M&Aが決定するまでは沈黙を通すのが一番だと思います。自社が売却されるというのは、経営者が考える以上に従業員には衝撃的な事で、生活設計から人生プランまで変更を迫られる大きな重圧です。

もし、M&Aが決まる前の段階で従業員に身売り話を切り出すと混乱と不安から質問責めになるのは避けられません。その時に「具体的な事は今後買い手企業と相談しないと分からない」等と回答しては失望から退職を考える従業員も出てしまいます。

非情なようですが、すべてはM&Aが決定し旧従業員の処遇が確定してから話すのが結果的にベターなのです。

参考:株式会社STRコンサルティング古旗淳一会計事務所

6)この記事のまとめ

M&Aのデメリットについては、以下のようなポイントが挙げられます。

  • 買い手のデメリットは、のれんの価値下落、会社融合の失敗、シナジー効果が得られない、簿外債務の発覚、人材の大量辞職等がある。
  • 売り手のデメリットは、取引先との関係悪化、労働条件の変更による従業員トラブル、会社売却価格が想定を下回る等がある。
  • 買い手の失敗理由は、高値掴みとPMIの失敗であり、これらはデュ-デリジェンス軽視から発生しやすい。
  • 売り手の失敗理由には、M&Aの知識不足やFA仲介業者の選択ミスや過信、または売却価格をしっかり決めていない事がある。

以上、参考になりましたら幸いです。

<参考資料>

参考資料:事業承継M&A山田コンサルティンググループ

参考資料:株式会社STRコンサルティング古旗淳一会計事務所

参考資料;Yahoo!知恵袋

参考資料:HRNOTE人の成長から企業の成長を。

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