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会社は個人で買収できる?個人でM&Aを行う方法や注意点とは

スーツ 男性

中小企業経営者の高齢化や後継者不足などの影響もあり、最近は大企業ばかりでなく会社を個人で買収するケースも増えています。人生100年時代を迎え、より長く働く為の資産形成として人気を集めつつある個人の会社買収。今回は会社買収の方法と注意点を徹底解説します。

1)個人の会社買収が増加している背景

従来、企業と企業の間の取引だったM&Aも、会社から個人、個人から会社のような小規模買収も増えてきました。また、ITベンチャーなどの出口戦略も従来の新規株式公開による資金調達ではなくM&Aで直接に大手企業に事業を譲渡したり、逆に小規模ビジネスを買収するなど変化しています。

このように働き手の価値観が多様で柔軟になった事も、個人M&A増加の背景にあるようです。

大廃業時代と個人の資産形成がマッチング

個人のM&Aが増加している背景として、経営者の高齢化と比例して増加しているのが後継者の不足です。60歳以上の経営者の半数が後継者不在を理由に廃業を選択せざるをえなくなっていて、その背景には事業の将来性の暗さ、子孫に継ぐ意思がない等があります。

仮に、子孫に会社を継ぐ意思があっても日本経済では特に中小企業で熾烈な生き残り競争の状態にあり経験不足から経営が傾く危険もあるのです。

一方で、為すすべなく廃業する中小企業を個人で買収して資産形成を目的としたM&Aも増加しています。その背景には老後の資金確保の切実な事情があります。現在日本では社会保障の負担の増加に合わせ年金の将来支給額の低下が危ぶまれています。

さらに、人生80年とされてきた人生設計も医療の進歩で90年、100年まで余生が伸びる事が予測されていて、年金だけに頼ると生活資金が底をつくリスクがあります。

まだまだ、働かねばならないシニア世代ですが、実際には日本の大半の企業は60歳ないし65歳定年制を変えていません。

もちろん、一度定年して退職金をもらい再雇用という道もありますが、再雇用では給与が現役時代の50%から60%に抑えられ、収入が大幅に低下します。

そこで、まだ元気に働ける40代から50代の間に個人M&Aで中小企業を買収して経営者としてセカンドライフを送ろうというサラリーマンが増えているのです。

参考サイト:M&A総合研究所

2)会社を個人で買収するメリットとデメリット

プレゼン 男性

前述したように、経営者の高齢化と後継者不足、そして定年制と人生100年時代の到来によって資産形成の為に個人M&Aは増加していきます。しかし、それならどうしてゼロから起業するのではなく他人の会社を買収するのでしょうか?

実は会社を買収するのは、ゼロ起業とは比較にならないメリットがあるのです。この章では会社を個人で買収するメリットとデメリットを解説します。

【1】会社の個人買収によるメリット

会社を個人が買収するメリットには下記のような事があります。

  • すでに設備と人材が揃っていて初期投資が抑えられる
  • 取引先や顧客、集客のシステムが完成しているので安定した収益が得られる。
  • 許認可が必要なビジネスに参入できる
  • コストの見直しで赤字が改善できる可能性がある
  • 廃業前の会社は格安で購入できる時がある
  • 会社のノウハウを苦労なしで入手できる

では、6つのメリットをそれぞれ具体的に解説していきましょう。

メリット1:すでに設備と人材が揃っているので初期投資が抑えられる

ゼロから起業した場合には、建物から設備、広告費、人材募集の費用など思った以上にお金が掛かります。しかし、すでに存在する会社を買収するのであれば、これらの初期費用を大きくカットできるのです。

特に、すでに仕事に慣れたベテランの従業員がそのまま引き継げるのは、一から従業員を育てるのに比較して天地の差があります。

メリット2:取引先や顧客、集客のシステムが完成しているので安定した収益が得られる。

独立起業した個人事業主が挫折する最大の理由は、顧客を得られず集客システムが構築できなかったというものです。それだけ新規事業で顧客を掴むのは難しく、顧客が得られないから収入も安定せず、集客のシステムも出来ない悪循環に陥ります。

また、取引先にしても独立開業では、一から信頼関係を築かないといけません。会社を個人で買収すれば、前の経営者が苦労して獲得した顧客や集客システム、そして取引先がそのまま手に入ります。

すでに、この時点で事業の承継者は多くの独立開業者よりも有利なポジションに立っている事になり大きなメリットです。

メリット3:許認可が必要なビジネスに参入できる

会社を個人で買収すると、許認可が必要な士業、例えば診療所の経営や、タクシー会社のような免許が必要な仕事も引き継げます。自分で資格や免許を取るとなると、資金ばかりではなく勉強時間も必要ですが、それをショートカットできるのです。

ただ、免許を持つ人や資格を持っている人が急に辞めると事業自体も閉鎖せざるを得なくなるので、そこは注意が必要です。

メリット4:コストの見直しで赤字が改善できる可能性がある

これは大手企業で経理をしていた人に限定になるかも知れませんが、中小企業では経理に無駄が多くそれが赤字の原因になっている事があります。このような会社を買収して引き継ぐと、経理の無駄を省くだけで赤字が減り、黒字を出す会社に変身するかも知れません。

メリット5:廃業前の会社は格安で購入できる時がある

後継者がいないので会社を廃業すると言っても、会社の廃業は簡単な事ではありません。実際に会社を畳むとなると、株主総会で解散決議を可決、廃業登記をした上で取引先や顧客への廃業通知を出し、従業員への解雇通知・退職金支払いを済ませます。

さらに、金融機関からの借入金があれば、繰り上げして支払わないといけませんし、建造物を取り壊して跡地を更地にし売却する必要もあります。

このような複雑な手続きを繰り返した結果、黒字だった会社には借金だけが残り、経営者は今後の生活を考え途方に暮れる事も珍しくありません。

そうなる位なら会社を引き継いでくれる相手に格安で会社を譲り、廃業のリスクを回避したいと考えるのが人情と言えるでしょう。

参考サイト:週刊エコノミスト
参考サイト:税理士法人大分綜合会計事務所

メリット6:会社のノウハウを苦労なしで入手できる

どのような業界でも門外不出のノウハウというものがあります。業界だけで通用する情報などです。新規で事業を立ち上げて参入すると、そんなノウハウは自分で苦労しながら覚えるしか方法がありません。

しかし、会社を買収すれば事業を引き継ぐ時点で前の経営者が苦労して蓄積したノウハウを教えてもらえます。最初から業界のノウハウがあるのとそうではないのでは、会社の経営の仕方にも影響します。これも会社買収の得難いメリットなのです。

【2】会社の個人買収デメリット

一方で個人が会社を買収するデメリットも存在します。それは下記のような事です。

  • 人間関係で揉めて従業員が辞めてしまう
  • 前オーナーが申告しなかった隠れ債務が発覚する
  • 経営者のビジョンがなく思ったような経営が出来ない
  • 資金不足で事業拡大の為の投資が出来ない
  • 自分のノウハウが事業運営では活かされなかった
  • 利益が小さすぎて老後の資金が不足する

それでは、それぞれのデメリットについて解説してみましょう。

デメリット1:人間関係で揉めて従業員が辞めてしまう

会社を個人が買収するデメリットにはどんなモノがあるのでしょうか?小規模の会社を買収した場合、その会社が上手くいけばいくほど従業員と経営者が家族のような付き合いだったりします。

そこに、従業員が知らない新しい経営者が突然乗り込んでくると従業員と新しい経営者の間に摩擦が生じる事もママあります。

特に、新しい経営者が独自の経営戦略を従業員に指示するとそれまでのやり方と違うストレスから従業員が辞職する事もあるのです。

デメリット2:前オーナーが申告しなかった隠れ債務が発覚する

既存の会社を買収する上で最も気を付ける必要があるのが、前オーナーが負債の存在を隠していた場合です。例え騙されたとしても、一度会社を買収してしまえば隠れ債務は会社を引き継いだオーナーに支払いの義務が生じます。

こちらを回避するには、性善説で対処せずデューデリジェンスで財務や法務、税務などを徹底して調べるしかありません。

デメリット3:経営者のビジョンがなく思ったような経営が出来ない

経営者になろうと考える人達の中には、会社を個人で買収する事が目的化してしまい、いざ会社を買収するとどうしていいのか戸惑う人がいます。どうすれば会社が売上を伸ばせるのか、どうすれば成功と定義するのか、そのような目標がないので経営を引き継いだものの何も出来ないのです。

昨今、個人のM&Aが増加している中で、何となく熱に浮かされてしまわない慎重な態度が必要でしょう。

デメリット4:資金不足で事業拡大の為の投資が出来ない

会社を買収したものの、それに資金を使い果たしてしまい、事業を拡大する為の投資が出来ないという事もあります。他人の会社を引き継いでも、経営方針まで同じという事はないでしょうから、自分なりの経営プランを立てるわけですがそれが資金不足で頓挫しては本末転倒です。

買収後の経営資金なども考えておき、会社を買収したものの資金が尽きたという事にならないようにします。

デメリット5:自分のノウハウが事業運営では活かされなかった

退職前に自分がサラリーマンとして培ったノウハウを会社買収後に経営に活かそうと考えたものの、まるで通用しなかったケースです。経営者としての視点や行動と、サラリーマンとしての視点と行動は、実際には全く違い活かそうとしても通用しないケースもあります。

ただ、例えば元々、運送業者に勤めていた人が個人の運送会社を買収したり、出版社に勤務していた人が小さな出版社を引き継ぐ時には元職のノウハウが活きるかも知れません。

そう考えると、自分が元々勤めていた仕事に近いジャンルの会社を買収した方がノウハウも有効活用できると言えますね。

デメリット6:利益が小さすぎて老後の資金が不足する

個人の会社を首尾よく買収し、いざ経営してみると思ったより利益が小さく老後の資金が不足してしまうケースです。これは、会社を買収する時点での利益の読みが甘かったという事であり、財務諸表をしっかり把握できていない可能性もあります。

帳簿の計算が不安なら、税理士など専門職の力を借りて買収を進めるのも失敗を防ぐのに有効です。

参考サイト:SPEEDM&A

 3)個人で会社を買収する方法4選

人差し指 男性

会社が会社を買収するには、M&A仲介業者に頼む方法があります。では、個人が会社を買収するにはどうすればいいのでしょうか?ここでは、個人が会社を買収する4つの方法を解説します。

【1】知人に紹介してもらう

知人に会社を売りたがっている人を紹介してもらう方法です。

実際、この方法が仲介料も掛からず知人も知り合いを紹介するわけですから信頼関係もありトラブルに遭う可能性も少なくなります。しかし知人頼みですから、いつ話が回ってくるか分からず計画を立てて会社を買収するというのは難しい方法です。

【2】スモール案件M&A仲介業者

一般に会社を買収したい時には、M&A仲介業者に依頼するものですが、大手の仲介業者は最低売却価格2000万円などの案件しか扱いません。

これでも億単位の案件しか扱わなかった昔に比較すると、かなり価格が下がったのですが、それでも2000万円の資金をもつ個人は少ないでしょう。

しかし、近年は、このような大手M&A仲介業者が見向きもしない少額M&Aが増加した事から、スモール案件M&A仲介業者が出てきています。

・株式会社ビザイン・・・・着手金30万円(原則)、最低報酬150万円、同時に小規模なM&A案件も提示している。

・スモールM&A.com・・・・関西圏に展開する仲介業者で、着手金なし(原則)成功報酬150万円。※不動産鑑定、デューデリジェンスは別料金。

通常、M&A仲介業者は最低報酬500万円の為、1/3以下に引き下げているという事になります。個人のM&A利用者にとっては非常に利用しやすい料金体系です。

参考サイト:BIZIGN
参考サイト:中小企業・店舗の事業継承M&AスモールM&A.com

【3】マッチングサイトを活用する

現在は小規模なM&Aが増えている為、需要を見越してマッチングサイトが増加しています。マッチングサイトのメリットは、少ない手数料で多くの売り手と買い手を探す事が出来る点です。一度登録してしまえば会社を売りたい方から、こちらに連絡がいくので効率が良いのです。

代表的なマッチングサイトには、以下の3つがあります。

・TRANBI・・・・ユーザー数31343名、累計M&A案件3188、マッチング13535件と業界最大。500万円以下の小規模案件も扱い有料で専門家のアドバイスも受けられる

・M&Aクラウド・・・・M&A総数が488件、希望の買い手に会える確率84%。売り手は無料で買い手企業とコンタクトが取れます。

・Batonz・・・・日本M&Aセンターグループが運営。登録ユーザー数2万人の事業承継特化マッチングサイト。承継アドバイザーが売手と買手をサポートします。

マッチングサイトのデメリットは、売り手と買い手を紹介するまでが仕事で、その後のM&Aについてはサポートが弱い事です。ですのでマッチングサイトで相手を探し、スモール案件M&A仲介業者につなぐのがベストかも知れません。

参考サイト:TRANBI
参考サイト:M&Aクラウド
参考サイト:Batonz

【4】事業引継ぎセンターの活用

事業引継ぎ支援センターは、主に後継者不在の中小経営者のためのサポートとして経済産業省が設置している公的機関です。2011年から、高齢化と事業承継者不足により減退する中小企業を支援する産業競争力強化法の根拠法としてスタートしました。

会社同士のM&Aだけでなく、後継者がいない小規模事業者のマッチングもしていますが、全ての都道府県の引継ぎセンターではなく場所が限られるので注意です。

また支援センターは、後継者難や事業引継ぎの相談がメインでマッチングの業務はサブ的扱いですからマッチングサイトの延長で考えると失敗します。

ただ、小規模案件が多いので上手く活用すれば、あなたが買収したい頃合いの企業が見つかるかも知れません。

参考サイト:M&A総合研究所

4)個人の会社買収を成功させる鉄則6選

指を差す 男性

会社の個人買収について、様々な点を解説してみましたが、では、どうすれば個人でスムーズに会社を買収できるのでしょう。ここでは、個人が会社買収を成功させる鉄則6選として重要なポイントを解説します。

【1】絶対におさえておくべき会社買収6つの鉄則

個人の会社買収を成功させる為の6つの鉄則とは以下の6点です。

  • リスク回避
  • 最適な手法の選択
  • 相手の決定
  • 迅速な交渉
  • 贈与税対策
  • 非公開会社の対策

この6つの鉄則の一つが欠けても個人による事業買収は失敗に終わる可能性が高くなります。なにしろ、いかにお金持ちでも個人の資金力は法人である会社よりは遥かに落ちますし会社にとっては大した失敗でなくても個人では致命的になる事もあります。

一度の人生を台無しにしない為に、以下には4つの鉄則について具体的に解説します。

【2】リスク回避

個人が会社を買収する上で一番のリスクは、隠れ債務や脱税、訴訟のリスク等です。会社同士のM&Aなら、相応の人員と外部組織の力を借りて慎重なデューデリジェンスが可能ですが、個人では時間的にも資金的にも能力的にも厳しくなります。

しかし、現実問題、買収してから多額の負債がある事が分かっては、とても老後資金どころではなくなります。

そこで、監査のポイントを絞っていくのが成功の早道でしょう。

(1)デューデリジェンスの種類とは?

リスク回避に欠かせないデューデリジェンスにはどんなポイントがあるのでしょうか?

デューデリジェンスにはお金が掛かるというイメージがありますが、それもそのはずでDDの範囲は多岐に渡ります。

  • 事業デューデリジェンス・・・会社を買収すべきかどうかの監査
  • 財務デューデリジェンス・・・経営成績や資金繰りを監査
  • 税務デューデリジェンス・・・法人税や事業税の申告漏れがないかを監査
  • 法務デューデリジェンス・・・会社が抱える訴訟や和解、賠償責任、人事、労務、資産、負債などを監査
  • 人事デューデリジェンス・・・就業規定や給与体系、退職金制度等従業員の待遇を監査
  • 知的財産デューデリジェンス・・・知的財産権についての監査
  • ITデューデリジェンス・・・・IT管理システムを具体的に監査
  • 環境デューデリジェンス・・・・会社が抱える環境汚染のリスク監査、対策コストの有無、汚染の度合い等を調べる。
  • 本来ならば、すべてを調べるのがいいのですが、一項目につき100万円程かかるので個人買収には現実的ではありません。

また小規模M&Aの場合、省略しても問題ない項目もあり最も重要な財務や税務、法務、業種によっては環境に絞るのがベストな選択でしょう。

参考サイト:早わかりM&Aマガジン

(2)デューデリジェンスのタイミング

デューデリジェンスには適切なタイミングがあります。

理由はどうあれ、会社に部外者がやってきて、あれこれ調べていくのですから事情を知らない従業員は動揺するでしょう。そうなると、上手くいっていた会社買収の流れにもブレーキがかかってしまう恐れがあります。

そこで、デューデリジェンスのタイミングとしては、基本合意が済んで本契約との間をお勧めします。ここまで来れば、経営者も会社を譲渡する決意をしているでしょうし、従業員の動揺があっても間もなくM&Aを説明できるからです。

(3)利害関係者にはDDを依頼しない

デューデリジェンスの場合、買収しようとしている会社の税理士や関係者から実行すると提案があるかも知れません。しかし、このような利害関係者の場合、本当に重要な部分についての監査が甘くなり重大な欠陥を見逃すリスクがあります。

このような提案があっても断り、第三者のデューデリジェンス業者に依頼するのが鉄則です。

【3】最適な手法の選択

個人が会社を買収するにしても、少なくとも株式取得と事業譲渡の2種類の手法があります。買収の場合には、会社の資産も負債も従業員も契約先との関係も包括的に引き継ぐ事が出来て面倒もない代わりに、隠れ債務などを背負うリスクもあります。

その点、事業譲渡なら必要としている事業だけを切り離して取得できるので隠れ債務などを回避できますが契約を新しく結び、許認可を取り直すなど煩雑な点もあります。

このような相違点を考えながら、最適な手法を選択する必要があります。

【4】相手の決定

会社買収にしても相手を選ぶのは非常に重要なポイントです。知人による紹介なら、相手も知人との関係の手前、あなたを裏切る事も少ないでしょうが、マッチングサイトやM&A仲介業者を通して合うと注意が必要です。

では、どのように相手を見極めるかと言えば、これは何度も会って、どのような人物なのか自分の目で確かめるしかありません。その中で違和感を感じたら、相手と率直に話すようにし、それでも違和感が取れないなら交渉を打ち切る事も選択肢に入れるべきです。

【5】迅速な交渉

会社同士のM&Aの場合、契約には半年から1年間以上も時間がかかると言われています。しかし、これでも間にM&A仲介業者を挟んでの事であり、何のサポートもなしに個人が会社買収をすると時間ばかりかかり交渉が前に進まない恐れもあります。

ある程度、買収したい会社の経営者と話をまとめたら、スモール案件M&A仲介業者に依頼し交渉を迅速に進める必要があるでしょう。

【6】贈与税対策

個人から個人に会社を譲渡する場合、例えば、建物については無償でいいよという約束が出るかも知れません。

しかし、無償による譲渡は税法上の譲渡にあたり、贈与として贈与税が発生する事があります。

贈与税は、預貯金など現金以外の部分を時価で計算し、資産と債務合わせ110万円以上の時に発生します。

※年間110万円以下の場合には基礎控除の対象です。

例えば、贈与金額が500万だった場合には、以下のような計算になります。

500万円-110万円=390万円(基礎控除後の課税対象額)

390万円×20%(贈与税率)-30万円=48万円

このように500万円分の贈与を受けた場合、48万円の贈与税が発生しますので無料で譲渡されたと言ってもしっかり課税されます。

ちゃんと会社買収の時の必要経費として計上しておかないと後で慌てる事になるので気をつけましょう。

※実際の贈与税額は国税庁のHP等でそれぞれ調べて見て下さい。

【7】非公開会社の対策

株式を非公開にしている中小企業には、会社にとって望ましくない人物が株式を取得し会社の承継者になった場合の防衛策として売渡請求権が認められています。

売渡請求権とは株主総会で特別決議が得られれば当該人物に株式売渡しを請求して株式を取得できる権利です。

株主総会特別決議においては、会社承継者の株式比率が過半数を占めていても議決権を行使できない決まりです。

つまり株主が結託して特別決議が出されると、会社を承継できずに株式を売り渡さないといけない羽目になります。

こちらは、かなり資金力がある個人じゃないと実行できませんが、非上場企業ではあらかじめ株主に根回しをしないと会社を追い出されるリスクがあるのです。

参考サイト:M&A総合研究所

5)個人の会社買収に関するQ&A

Q&A

ここまでは、個人の会社買収について解説してきました。

この章では、上記で説明した以外の個人が会社を買収する際の疑問、質問について解答します。

【Q1】産業競争力強化法が平成30年に改正されたそうですが、変更点はなんですか?

産業競争強化法は、平成26年1月20日に施行後、度々改正があり平成30年度にも改正されました。

改正内容には中小企業や小規模事業者関連措置として、事業承継や創業促進などの新陳代謝を活発にし時代に対応した経営支援体制の基盤強化措置が盛り込まれています。

具体的な創業促進や新陳代謝の加速化措置は以下の通りです。

  1. 再編による事業承継を加速させる為に「経営力向上計画」の対象にM&A等による再編統合を追加。該当者は登録免許税不動産取得税軽減や各種許認可の支援措置を受ける事が出来る。
  2. 親族外継承の増加に対応すべく、代表者に就任した者に加え代表者に未就任の後継予定者も金融支援の対象に追加
  3. 創業関心者が少ないという課題解消の為に、市町村が策定する創業支援事業計画の対象に創業啓発の取組を追加

このように事業承継者にとって有利な法制が盛り込まれているのがポイントです。

参考サイト:生産性向上特別措置法【生産性革命法】及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律の概要

参考サイト:経理プラス

【Q2】事業承継補助金には、㈵型と㈼型があるようですが、両者の違いはどうなっているのですか?

事業承継補助金は、M&Aなど中小企業の新しい挑戦をサポートする目的で中小企業庁が1年に一度だけ募集しています。

この事業承継補助金には、㈵型と㈼型の2種類があり、㈵型は親族内外に関係なく経営者が交替する事業承継に適用されます。

型を受け取る条件は、

  1. 新商品、事業、生産や販売方法の導入や事業活性化につながる取組みをする会社である
  2. 日本国内で事業を営む中小企業で、地域経済に貢献し、すでに事業承継が済んでいる事が条件です。

万が一、事業の承継が済んでいない場合は、㈰承継予定者に経営者の経験があるか、㈪同業種に関する知識があるか㈫創業と承継に関する研修を受講しているか

こちらの3つの条件からどれか一つを満たしている必要があります。補助金は500万円で人件費や設備投資に使う事が出来ます。

一方の㈼型は、事業再編や事業統合で利用でき下記のケースが該当します。

  • 法人の代表交代
  • 個人事業者が廃業しその事業を別法人に譲渡
  • 法人から事業譲渡を受けて個人事業を開業
  • 法人間の事業承継
  • 型も応募条件や補助対象となる資格は㈵型と同じですが、支給金額は最大1200万円です。

参考サイト:助っ人

【Q3】個人に事業承継をする場合、会社の経営者が提出しないといけない書類は何ですか?

個人が事業を引き継ぐ場合には、会社を譲渡する側が提出しないといけない書類は主に4つです。

  • 個人事業の廃業届の提出
  • 青色申告の取り止め届け出(青色申告を承継する場合は除く)
  • 事業廃止届出の提出
  • 予定納税額の減額申請書

会社屋号を引き継ぎたい場合には、改行届けに屋号を記載しておけば継続使用できます。

しかし、商号登記がされている場合には、法務局で名義変更手続きをしないといけません。

参考サイト:M&A総合研究所

6)この記事のまとめ

個人の会社買収については、以下のようなポイントがあります。

  • 中小企業経営者の高齢化と後継者不足により多くの中小企業が廃業の危機にある
  • 人生100年時代を迎え、それまでの60歳定年で80歳までのライフプランでは老後資金が不足するリスクが出てきた。
  • 後継者がいない中小企業と老後資金を得る為に経営者になりたいサラリーマンの間で利害が一致し個人のM&Aが増加している。
  • 会社買収のメリットは、設備投資、許認可、従業員や取引先、顧客獲得などで会社買収が有利である。
  • 会社買収のデメリットは、隠れ債務や従業員の離職、経験不足による会社経営の失敗、投資資金不足などがある。
  • 個人が会社を買収する方法には、知人からの紹介、スモール案件M&A仲介業者への依頼、マッチングサイトの活用、事業支援センター利用がある。
  • 買収の鉄則には、㈰リスク回避、㈪最適な手法の選択、㈫相手の決定、㈬迅速な交渉、㈭贈与税対策、㈮非公開会社の対策等がある。
  • 産業競争力強化法や事業承継補助金など、個人の会社買収に有利な法律や支援制度が整備されてきている。

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